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IS<インフィニット・ストラトス> ‐Blessed Wings‐ 
第一章 『学園』 ‐欠片‐
第25話 『クラス対抗戦』 前編
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――傾いた砂時計は決して戻る事はない 一度落ち始めた砂は、そのまま落ちるだけである

――そして、その『砂』という現実が、少年達を襲う。

『その中でどう抗うのか どう決断するのか』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

そこは、暗闇だった。
何も見えず、何も捉えられない空間である以上、それは虚無と言えるだろう。
誰にも知られないような、世界から切り離されたみたいな、そんな場所に――その少女は存在した。

少女が居る部屋は、乱立している数多の機器は夥しい本数のコードで結ばれており、まるで森のような様相を呈している。
電灯は破壊し尽され、壁に取り付けられたモニターは大半が機能を失っており、機材の殆ども破損している。

だが、暗闇が必死に隠そうとしたのは、そんな破壊の跡ではないだろう。
部屋は廃墟であり――同時に、異界だった。

――辺りには、腐った果実が堕ちている。
碧の光でさえそれと判別できる、見渡す限りの赤い世界。
床は殆どが朱に彩られ、空気は粘ついた鉄に染め上げられていた。
腹を割かれた死骸。四肢を弾かれた屍骸、原型を留めていない残骸。

死体は何かに襲われ、抵抗したのだろうか。
傍らには武器らしき物が落ちている。
辛うじて生きていた部屋の照明の一部が照らしたのは、そんな虐殺の跡であった。
そして、そんな『異界』の中に一人の生存者がいた。

その場に存在しているのは、真紅の光翼、黒灰色のスマートアーマー、フルフェイスの竜を模した仮面。

そして女性らしいボディラインがその存在を『少女』だと証明していた。
そんな姿はどこか幻想的でもあり、まるで御伽噺に登場する騎士のようにも思える。


「――理解不能です」


竜面を被った少女はその亡骸を見るとまったく感情の感じられない声でそう呟いた。
死んだ者達の行動を理解出来ず、思わずその言葉は零れたのか。真意は少女にしかわからない。

しかし、その少女の興味は既に息絶えた死人に対してではなく、己の眼前――仮面を通して眼前に表示される見ウインドウにあった。
それを興味といえるのか、そんな人のような感情なのかは少女は理解できなかったが。

己はマシーンだ、ただ命令を遂行するマシーンにはそんなもの、感情など必要ないと少女は判断する。
だが、そう思いながらも疑問する『何故マシーンなのに、疑問と言う概念を自分を持つのか』と。
そして、自分の目的――私の目的は、何だ。 自分は、『私』の目的は――
 
そう思考した瞬間、頭に走る激痛を伴った頭痛により仮面の上から頭を片手で押さえる。
そうだ、自分はマシーンだ。そんな感情はいらないし、理解できるわけも無い
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