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IS<インフィニット・ストラトス> ‐Blessed Wings‐ 
第一章 『学園』 ‐欠片‐
第24話 『乙女の悩み』
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からさ――心配ないと思うけど、どうしてるんだ?」

一夏のその言葉により、今まで笑顔だった凰さんの顔が曇る。
その表情には、なんというか――辛さと痛みと悲しみが感じられた。
一夏はもしかしなくても一番踏んではいけない地雷を踏んだんじゃないかと思う。

「――なんだ」
「ん? 何だって?」

「行方不明、なんだ……お父さんは」

その言葉で一気に沈黙する俺達。そして一夏は『やってしまった』という顔をする。
そして、一夏は困惑しながらも言葉を続けた。

「行方不明って、どういう――」
「……ごめん、事情は今度話すから。 ほ、ほらもうお昼終わるわよ!? あたしもいい加減行かないとダメだし、皆も行かないとちふゆさ――織斑先生に怒られちゃうよ! それじゃあ、またね!」

それだけ言うと、凰さんはそのまま逃げるようにお盆を持って食器を返却し、そして最後にこちらに向けて無理に作った笑顔を向けて食堂を後にした。
後に残ったのは沈黙と、なんともいえない空気だけで――ひとまず、俺達も織斑先生の怒りだけは買いたくなかったので急いで授業へと向かった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


時間は流れて夜、今日の昼は凰さんの事で少しあったが、その事を再度気にする余裕も無く夜になってしまった。

現在俺とアリアは同室なので、お互い夕食やシャワーを済ませた後は、織斑先生の『地獄の課題』に取り組んだり、後は自分の機体のメンテナンス、必要なら本国や企業への連絡を行っていた。
後、最近の俺のマイブームは『鈍器になる本』を読むことだ。

学園に来る際にアレックスに勧められて読んで以来、完全にハマってしまった。
だが、人気の作品なのか学園の近くの書店を探しても中々見つからず、少し残念に思っていたのだが、そこに救世主が現れた。

『あれ、私全巻持ってるよって言わなかったっけ。向こうからそのシリーズだけなら持ってきてるから、ユウがよければ読む?』

と、アリアからそんな提案が。
有難いと思った、何故ならばアレックスに手渡されたのは何故か最終巻で、面白くはあったが内容がちんぷんかんぷんだったからだ。
勿体無い、こんなに面白いんだから最初から読みたいと思っていた矢先にアリアの提案があり、助かった。

とにかくあの作者は、書き方が上手い、そして人を引き込むような書き方を知っている。
あの厚さから確かに読む人は選ぶだろうが、俺としては好きな作品だ。新作も何気にチェックしている。

特に今日はやる事も無かったので、アリアから本を借りて読んでいるのだがずっとアリアがニコニコしながら機嫌がよさそうにこちらを見ている。
なんで機嫌がいいんだろうか。
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