暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX 〜水と氷の交響曲〜
ターン21 死神の羽は黒い羽根
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 万丈目がこっちに帰ってきた日の夜。ちょうど空き部屋が一つあったのでとりあえずそこに入ってもらい、あーだこーだと薄い壁と部屋の中のドアを通して聞こえてくる文句に耳を塞ぐ。せめてこのドアがなければもうちょっと静かだったんだろうけど。ちなみに僕の部屋は十代や翔の部屋と今万丈目がいる部屋の間に位置してるんだけど、なぜか両方の部屋に通じる壁に一つづつドアがついている。いや、なぜかじゃない。こうなったのはだいたい十代が悪い。つい昨日まで空き部屋だったのをいいことに、どうせだから2階の部屋全部通り抜けできるようにしようぜ!とか言い出したのは十代だ。

『んで、ハンマーだののこぎりだので嬉々として壁ぶち抜いたのはお前な。挙句の果てに終わってからタイタンのいた寮まで行ってそこら辺のドア引っぺがして持ってくるとかお前ら何がしたいんだ』
「いいじゃないの。どうせ誰も使わない寮なんだし、あそこでホコリかぶってるよりはこっちで部屋の行き来を楽にする役に立つ方が道具としても幸せでしょ」

 あらかじめ考えておいた言い訳を口にする。しかしこれ、いまさらとはいえやってることは泥棒だよね。すると、不意にまじめな顔になったユーノがポツリと一言言った。

『………明日香が来たらなんて言い訳すんだ?さすがにドアの形ぐらい見りゃ一発でわかるだろ。あれだけ言われて懲りずに入ったどころか備品まで持ち出してきてからに』
「あ」

 一瞬だけ時間が止まった。今の話はなかったことにした。別に思考放棄とかそういうんじゃない。断じて違うよ!と、そこで部屋のドア………あ、玄関のある方ね。つまり最初からついてたやつ。それがノックされた。はて、どちらさんだろうか。十代とかなら壁のドア使って入ってくればいいはずだし、わざわざ外からお客さんなんて来るような場所でもないし。どーでもいいけどレッド寮って校舎からも遠いんだよね。だからこそ大徳寺先生以外に監視の目はまずないから大規模な土木工事もできるんだけど。

「はいはーい、今開けますよっと」

 もう一度ノックされたので、とりあえずドアを開けてみる。そこに立っていたのは、いろんな意味で意外すぎる人物だった。

「すいません、サンダー。実は折り入ってご相談が………アレ?」
「えっと、鎧田……だよね?」

 そこにいたのはサンダー四天王最後の男、鎧田。何してんのこの人。ノース校の皆、もう帰っちゃったよ?というかサンダー隣の部屋だし。そう言うと一言、

「マジか。あー、そりゃ悪かったな。んじゃ」

 それだけ言ってドアを閉めようとした。

「待て待て待てちょっと待て」
「んー?どした?俺、サンダーに頼みがあってわざわざここに残ってんだけど………ってちょっと待て!お前、遊野清明とかいう奴だろ!」
「僕?うん、確かにそうだけど」

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