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やはり俺達の青春ラブコメは間違っている。
第三章
小さな教室で彼の心は巻き戻る。
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らないのは『信じられる』ことだ。
 信頼される。つまり、彼女は嘘吐きの俺の、言葉や行動、これも違う。まどろっこしい物じゃなく『俺』そのものを信じたいと言っているのだ。……俺を認め、見留めたのは、俺を信じるため、俺に嘘を吐かせないためか。

「桐山くん、ホントに霧みたいに消えちゃいそうで怖いんだよね……。あたし、桐山くんの話、信じたいから!」
 そう言うことだ。

 ――信頼。それは嘘だ。いいや、嘘と言うより一方的な勘違いだ。嘘を吐かず人を騙す。それが信頼なのだろうか。相手は自分のこんなところを信じ、尊敬し、好み、素晴らしいと思う。
 だが、実際、そのほとんどは勘違いである。信頼は思いの(ほか)、脆い。それは、信頼が嘘に限りなく近いからであるわけで、キャラなんか存在しない、数学が得意な『キャラ』は高校生になったら難しくなった数学についていけなくなって、誰にでも優しい『キャラ』は何時しか醜い現実に愛想を尽かし暴力に身を任せたり、唯一無二の親友だった『キャラ』は実は陰で自分の評判を悪くする、陰湿で最低なやつだったり、尊敬していた『キャラ』だった体育の先生は夜な夜な体育倉庫で教え子達を犯し続ける変態だったりする、そんな現実において、信頼は糞の役にもたちゃしない。信頼なんてのは独りよがりのオナ二――(割愛)。

 まあ、そんなわけで俺は信頼され、罪悪感を覚えるのだ。
 騙してしまった。自分はホントはもう数学が得意なキャラじゃないのに、お前って数学得意だったよな、すげぇよ、なんて言わないでくれ、もう尊敬なんてしないでくれ。
 自分は優しい人間だった。いやホントは君に好かれたいからキャラを作ってたのかもしれない。もうだめだ。信じられないんだ、何もかも。もう、好きだなんて言わないでくれ。……もう、君を信じていれるかさえ、怪しいんだ。
 ごめんよ。こんな俺をまだ親友と呼んでくれるかな、俺を信じてくれるかな……。無理だよね、分かってるさ。俺も無理なんだ。何でも出来るお前が妬ましくて、妬ましくてしょうがないんだ。もう、親友でも何でもない。あれはキャラだったんだ。
 そんな目で見るな。俺はもう教師じゃないんだ。しくじったよ。バレてしまったんだ。悪いが俺はお前に尊敬されるような素晴らしい、人間じゃないんだ。……あなたは生徒に親身に向き合ってくれる? 違うんだ。信頼があれば、俺が疑われるなんてことは、あり得ないだろ? ……ハハ、ハッ……。


 悪いけど僕は君に嘘を吐いたんだ。

 自分は……、ごめん。本当は忘れられたり、覚えてもらえないことが嫌だったんじゃないみたいなんだ。鬱陶しいんだ。無かったものが、無くなったものがそこにあるだけで……。もう、遅すぎたんだね。きっと僕はマトモじゃないんだ。
 騙してごめん。今も鬱陶しいと思ってごめん。帰り
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