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アッシュビーの再来?
第2話、猛将現れる
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単艦の航跡と見間違うほど速い部隊です」

 情報士官が警戒不足で奇襲を受けたわけでなく、あくまでも敵の用兵の賜物と主張する。

「閣下、ブラウン少将の分艦隊が敵艦隊に翻弄されています。すぐに本隊から援軍を回すべきです」

 ラデツキーはエネルギー不足の状況で、帝国軍の反撃に直面したことに脅威を感じた。第十一艦隊の攻勢限界を読んだとしたら、少数とはいえ決して侮れない敵だ。

 そして次の瞬間、その懸念が現実のものとなる。反撃をしてきた敵艦隊は巧みにブラウン少将の分艦隊を蹴散らし、瞬く間にホーランド艦隊本隊の側面に踊り出た。

「まさに疾風……」

「何が疾風だ。臆病かぜにふかれるな。敵はたかたが二千だぞ」

 ホーランドは動揺する部下達を叱咤激励しつつ、次々と指示を出して敵の急襲を防ぎきった。

 だが、その代償は大きい。第十一艦隊はなけなしのエネルギーを消耗しただけにとどまらず、帝国軍主力に態勢を立て直す時間まで与えてしまったのである。


「帝国軍の本隊が再編成を始めています」

 その報告に、ラデツキーの心は恐怖で引きさかれそうになる。数に勝る帝国軍本隊が再編成され混乱から立ち直れば、青色吐息の第十一艦隊では勝負にならない。

「て、提督! 帝国軍が後退を開始しました」

 銀河帝国軍の遠征艦隊は第十一艦隊を残して全面退却を開始した。一個艦隊に翻弄されて大損害を出している状況で、ほぼ無傷の同盟軍二個艦隊と決戦する愚を避けたのである。

「参謀長、追撃だ。帝国軍を壊滅させるぞ!」

 帝国軍の敗走を見てホーランドは満面の笑みを浮かべて命じた。

「閣下、追撃戦をするだけのエネルギーがありません。今は、側面の敵の殲滅に力を尽くすべきです」 

 第十一艦隊にはもう余力がない。だが、帝国軍に見捨てられた帝国の小艦隊を殲滅する力は残っている。

「ブラウン少将に任せればよい。追撃を優先する艦隊を再編成したまえ」

 ホーランドの命令にラデツキーは敵に逃げられるという確信を感じながらも頷いた。

 そうこうするうちに敵の小艦隊は第十一艦隊の華麗で変則的な艦隊機動とは違い、隙のない洗練された用兵で整然と後退を始めた。敵はこちらのエネルギー不足というアキレス健をきちんと掌握しているようで、見事な機動力で翻弄してブラウン少将の分艦隊から逃げきった。

「大規模な追撃は補給をしなければ不可能です。エネルギーを残している部隊を糾合して、第五艦隊及び第九艦隊の追撃戦に参加はできます。いかがいたしますか」

「重要な事は私が追撃戦に参加することだ」

「分かりました。すぐに追撃部隊を作ります」

 それからすぐに追撃戦は終了した。 同盟軍の損害約二八00隻、帝国軍の損害約六三00隻。敵を
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