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アッシュビーの再来?
第2話、猛将現れる
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るはずだ。

 それは戦術のエネルギー消耗が速い点……ではなく、各艦艇のエネルギー積載量の少なさと効率の悪さである。

 ホーランドは統合参謀本部に艦艇の航続距離を伸ばすよう掛け合っていることは、軍の一部では有名な話だ。

 それどころかホーランドが統合作戦本部長になったあかつきには、艦の消費エネルギーを減らすために、装甲をベニヤにするという噂まであるのだが、戦場のホーランドは何故かエネルギーの大切さを軽く見てしまう。

「このままでは帝国軍の近くで立ち往生しかねません。我々は十分な戦果を上げました。友軍の二個艦隊と足並みを揃える時です」

「あと十分だ。それまで何とか補給切れの時期を先に伸ばしたまえ」

「しかし、そのような方法は、機動力を抑えるぐらいしかありません」 

 ラデツキーはホーランドの無茶な要求に反論した。数の少ない第十一艦隊が敵前で低機動になれば、それだけ損害は増す。いや、それどころか勢いを失っている帝国軍が息を吹き返す可能性もある。

「エネルギーの節約を命じろ」

 ホーランドはすぐに決断した。

「ホーランド提督、ビュコック提督より再び通信が届いています」

「……分かった」

 忙しいと一喝する誘惑をこらえて、ホーランドは通信士官の報告に頷くと、ラデツキー参謀長と一緒にビュコック提督の通信を確認する。

 ビュコック提督は急いで戦列に復帰するよう命令を出していた。前回の通信内容とほとんど一緒だったが、温厚で有名なビュコック提督が命令違反で処罰するとの一文をつけ加えていた。

 苦労人の老将を尊敬するラデツキーは顔を青ざめさせたが、ホーランドにはさほど感銘を与えなかった。

「敵軍が崩壊しつつあるというのに、心配性の同僚を持つと苦労する」
「ですが、軍法会議まで持ち出してきたとなると、『混戦により命令の実行は困難』では済みません。友軍も近くまで迫っています。我々は十分以上に戦果をあげました。ここはビュコック中将の顔を立てるべきです」

 ホーランドが馬鹿にするビュコック中将は、ラデツキーの期待以上の速度で第11艦隊に接近している。 こちらが前進を止めればすぐに追いつくだろう。

「よかろう。手柄をハイエナ共に分けてやろう」

「ご英断です。閣下」 

 ラデツキーは渋い顔をしているホーランドの許可を取って、ビュコック中将に現状を知らせて命令に従うと伝えた。

 だが直後、事態は一変する。急に艦内が騒がしくなり、次々と損傷した艦の名前が伝えられる。

「何が起こった?」

「て、帝国軍約二千。右翼側面を攻撃をしてます」

 帝国軍二千隻は、動きの鈍くなった第十一艦隊の右翼に猛反撃を喰らわせていた。

「どこから出てきたのだ」
「航跡記録では正面からですが……
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