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アッシュビーの再来?
第2話、猛将現れる
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性格のラデツキー少将と、生意気で自信家の少壮士官であるホーランドの仲は、驚くほどの良好を維持した。

「作戦は予定通り実行する」

 作戦の説明を終えたホーランドは反論を受け付けないとばかりに宣言した。ラデツキーは押し黙り、一瞬の沈黙が両者の間に溝を作る。

「御命令に従います。閣下」

 不敬にならないタイミングで、ようやく、ラデツキーは頷いた。

 部下には積極的な忠誠を期待するホーランドは、部下の反応速度にうるさい。本来なら気づいて貰えないような無言の抗議も、敬礼をからめればラデツキーの抗議の本気さをわかってもらえる。

「参謀長は何か不満があるのか」

 同僚にさえ傍若無人と言われるホーランドだったが、ラデツキーの苦言には気分次第で立ち止まり、時々耳を傾ける。

「ビュコック中将のことです。閣下に自由な指揮権を与えて下さったにせよ、何らかの指示は来るでしょう」
「対等な同僚の意見など無視すれば良かろう」
「いえ、いけません。それでは閣下の責任問題になってしまいます。せめて帝国軍の動きを理由にして、丁重に指示通りに動けないと伝えるべきです」
「まあ、良かろう。だがビュコック提督がしつこく私の邪魔をしたら、容赦はせんぞ」

 ホーランドは尊大な態度こそ崩さなかったが、責任問題と言われて若干鼻白んだ。

「ありがとうございます閣下」

 ラデツキーはやや大げさに喜びと感謝を示して、ホーランドを満足させる。


 そして、いよいよティアマト星系における会戦が始まろうとしていた。

 同盟軍は、動員した三艦隊をオーソドックスな横陣で配置。数に若干勝る帝国軍をビュコック艦隊・ウランフ艦隊の連携で、後輩のホーランド艦隊の支援をしつつ、帝国軍を消耗させる計画だった。対する帝国軍はやや艦隊を広がらせて、包囲隊形を取りながらじりじりと前進した。

 そして、もう少しで戦闘距離というところで、両軍の上層部が予想だにしない事態が起きてしまう。

 正面から伝統的な艦隊戦を挑もうとしていた大小三万五四〇〇隻の艦艇からなる帝国軍に向かって、一万隻をやっと超える同盟軍第十一艦隊が防御に有利な場所を捨て友軍を置き去りにして、勝手に突撃したのである。

 同盟軍の先任指揮官で老練な第5艦隊司令官ビュコック中将と勇猛な第9艦隊司令官ウランフ中将でさえ、いきなりの出来事に驚いた。第11艦隊の攻撃を受けた帝国軍は、驚くどころでは済まない。奇襲をもろに食らって大混乱に陥ってしまった。

 第11艦隊は巧みな艦隊運用でその隙を見逃さず、帝国軍の鼻面で蝶のように舞いながら攻撃を続けた。混乱から立ち直った帝国軍の一部が小癪な敵をこらしめようとしたが、帝国軍から見て蝶ならぬアメーバのように機動する第11艦隊に翻弄され、戦果をなかなか挙げられない。

 一方、帝国軍が混乱している間にようやく駆けつけて
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