混乱
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たことが、彼女の焦りを促進させた。今までは、自分が相手を殺す立場だと認識していたから立ち向かうことが出来たのだ。どれほど恐ろしい見た目でも、見掛け倒しの戦闘能力しかないと思っていたから攻撃出来ていたのだ。そんな相手から、突然攻撃されればどうなるか?・・・彼女の精神は、まさに発狂する限界一歩手前にまで追い詰められていた。
「化物とは・・・キツイぜ・・・・・・。」
錯乱して細剣を無茶苦茶に振り回すリーン。いくら精神に何らかの影響を受けているとしても、愛する恋人から言われたその言葉に傷つきながらもヘルは進んだ。顔目掛けて突き出された剣を、魔術で強化した左手で掴みとり、恐怖で顔を歪ませたリーンの首筋に、強烈な手刀を落とす。
「か・・・ハ・・・・・・。」
錯乱している状態で、その手刀を防げる訳もなく。彼女は気絶した。
「・・・・・・ぷ、はぁ・・・・・・。」
張り詰めていた空気が霧散する。ポタポタと身体中から血を流しながらも、彼は恋人に怪我がないことを喜んだ。
・・・が、
『気絶させたか!?そしたら今度は、魔術かなんかで深く眠らせろ!ノンレム睡眠・・・だったか?その状態にするんだ!夢を見させると、起きた時に精神に障害を起こす可能性があるぞ!!!』
と、再び響いたその声によって、弛緩していた意識を引き戻した。この声の内容が本当の事かどうかは分からないが、不思議と信じられるような気がしたのだ。
まつろわぬナイアーラトテップの権能は、生物の精神に直接干渉する権能だ。そのため、夢を見ている状態でも、その効果は維持される。人には、レム睡眠とノンレム睡眠というものがあり、夢を見るのはレム睡眠の場合だと言われている。・・・実際にはノンレム睡眠の時でも夢は見ているらしいのだが、この状態の夢は、起きた時に記憶に残らないのだ。
「深き眠りへと落とせ!」
リーンに魔術を使うと、気絶してからも魘されていた彼女の顔が、安らかな顔へと変化した。その安心したような顔を見ただけで、ヘルはこの声の主が正しかったのだと認識出来た。
『病院内で、まだ正気を保っている皆!この状況は、まつろわぬナイアーラトテップって奴の権能のせいらしい!今は権能の効果を受けていなくても、皆にも必ず影響が出る!・・・その前に、今使った魔術で自分も眠るんだ!』
「まつろわぬ神の権能か・・・!確かに、これだけの事をしでかすなら、神か神殺しくらいじゃないと出来ないか・・・!」
『どうやらこの権能は、『生物を狂わせる』効果を持っているらしい!自分に影響が出ないうちに眠っとかないと、今度はお前らが周りの皆を傷つける事になるぞ!』
その言葉に、病院内で真っ先に反応したのは、やはりヘルだった。せっかく無傷で眠らせたのに
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