暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第十一幕 「オルコット家の家庭の事情」
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の夢――このご時世完全に停滞している宇宙開発の分野を建て直し、宇宙飛行士になるという夢を叶える。母とは違う人間になる。その固い決意を胸に。

「・・・なのに今更オルコット家の自覚を持てだの代表候補生らしい振る舞いだの、つまらない事ばかり一々手紙で送ってきて・・・もう読む気も起きないわ」

またもやですわ口調を忘れて呟く。この口調は幼い頃から教えられた言葉遣いだが、特に母に反抗するようになってから少しずつ崩れてきた。だからどうという訳ではないが。
どうせ世間体を気にしての言葉だろう。父は良く母をかばうが、それはあの人がお人よしであるからに過ぎない。私にとっての母はどこまでも口で言うだけのつまらない、取るに足らない存在。そんなに娘を自分の都合のいい位置に置きたいなら力尽くでもやってみればいい。出来るものならば、だが。


―――コンコン

「・・・?誰ですの?」

唐突に響くノックの音に、セシリアは首をかしげる。ルームメイトの鏡さんかとも思ったが、彼女は部屋に入るのに一々ノックなどしない。不思議に思い、ドアを開いた先に居たのは・・・

「・・・えぇと、貴方は確か先ほどの?」
「・・・・・・・・・峰雪(みねゆき)つらら・・・と言います」

・・・先ほど私を囲んで言いたい放題言っていた同級生の一人だった。たしか「何故勝利を捨てたのか」と言ってきた子だと記憶している。いや、名前くらいはちゃんと覚えているので改まって名乗らなくてもいいのだが。セシリアより少しばかり身長が低く藍色の髪をヘアピンで留めたその少女は、先ほどとは一転、自信無さ気に上目づかいでこちらを見ていた。

「それで、何か御用かしら?」
「・・・・・・・・・あの、ぉ・・・」
「・・・言いたいことははっきり述べたほうが良くってよ?」

言いよどむつららにセシリアはきっぱり言い放つ。元々彼女はもどかしいのが嫌いなので、内容がどうあれさっさと用件を済ませてほしかったのだ。そこには決して先ほどの事を腹に据えかねているという感情は無い。というより、セシリアはさっきまでそのことを単純に忘れていたのだが。
とはいえその言葉に意を決したのか、つららはこちらに向かい合った。

「あの!セシリアさん!!」
「何ですの?」
「先ほどのセシリアさんの言葉に、私は深いかんめーを受けました!!」
「・・・そ、そうですか」

目をこれでもかというくらいキラキラさせてこちらの顔を覗きこんでくるつららにセシリアは少し気圧される。だが身を引いた分だけずいっとセシリアに寄ってきたつららの独白は続く。逃げようかとも思ったがいつの間にか両手で右手のひらを掴まれ、逃げられなくなっていた。

「はい!!『主義主張なんか知ったことではない。私は私の思うままに行動する』・・・私はその言葉に心
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