暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
穂群原学園(U) 〜パニックソニックデッドコースター〜
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「あ〜くっそ、好き放題してくれやがって」
身体そのものにも防御は仕込んであるので特にダメージはなかったが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
正直根比べな部分もあるが、連続魔術行使にも必ず息継ぎは必要になる。
要はそこまで耐えきればいいわけだ。
「士郎ー、大丈夫かー」
「俺は平気だけど……黎慈の方こそ、大丈夫なのか?」
「……まぁ、これくらいならな」
前方に障壁を集中展開するだけなので特に難しいことはない。
術式強度と魔力が劣っていなければ、問題なく防げるものだ。
だからといって暢気に会話していていいわけでもないのだが…………
魔術掃射が始まって1分は経っただろうか。
教室中の物を木っ端微塵にし、白煙が立ち込めるなか、原型を留めている自分が奇跡のようにさえ思えた。
魔術刻印から風を巻き起こして白煙を吹き払う。
「こうなったら徹底抗戦だ。アイツ絶対、泣かしてやる」
「行くのか、黎慈?」
「あったりまえだろ。凛とおまえのことには首突っ込まないつもりだったが、向こうがその気ならやってやるぜ。
さあ武器を持て士郎。あのバカタレの鼻っ柱折ってやるぞ」
「よ、よし!」
椅子の足を手に取り、強化の魔術を通す。
唯一の魔術と言っていただけあって、鮮やかな手並みだった。
あぁ、面白いぞこのやろう。どうせならもっとやり合おうや。
「む、やっと出てきたわね」
教室から出てみると、廊下の真ん中で凛が仁王立ちしていた。
散々な目に遭わせたことで気分がいいのか、ふふん、なんて笑いながらこっちを見ている。
「ほら、これで懲りたでしょ? 衛宮くんは早く令呪を出しなさい。
黎慈は頭下げてごめんなさい、って言えば許してあげてもいいのよ?」
絶好調の遠坂凛。
完全に勝者の笑みを浮かべながら降伏を促してくる。
だがこちらも敗けを認めるつもりはない。
そもそも敗北を受け入れるために出てきたのではないのだ。
「何でも自分の思い通りになると思うなよ遠坂。俺はセイバーを裏切らないし、まだ負けたつもりだってない」
「まったくだ。無い胸張って威張ってんじゃねぇぞ、お腹にばっかりお肉つけやがって!」
「そーだそーだ、心の贅肉だ!」
「……………………」
そして遠坂凛は沈黙する。
けれどもそれは、真の意味での沈黙ではない。
何故なら彼女の表情とその眼が、何よりも雄弁に物語っている。
コロス、と。
特に俺に対して、世界中の殺人鬼からかき集めたような殺気をぶつけてくる。
まるでこの世全ての殺意だ。
「来なさい。馬鹿は死んでも直らないんだものね」
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