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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
穂群原学園(U) 〜パニックソニックデッドコースター〜
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凛に冷静さなど既に無く、ガンドはその威力をどんどん上げている。
「黎慈、遠坂を止めてくれよ!」
「はぁ!? どうやれってんだよ!」
「キスするぐらいの仲なんだからそれぐらい出来るだろ!」
「あっ、テメ、やっぱ俺の話聞いてなかったな!? 誤解だっつってんだよ!!」
敵は凛だけではなかった。
隣を並走する士郎と口論しながら走り抜ける。
直線でしかない廊下では射線軸から逃れることも出来やしない。
「やった、階段だ! 駆け降りて校舎の外に出ればいくら遠坂でも……!」
「よしっ! と、飛び込めー!」
縋り付くように階段に突撃し、段飛ばしで階段を降る。
これで逃げ切っただろうと俺と士郎が安堵の溜め息を吐いたとき────
ダン、と目の前に降り立つ、あかいあくま。
「わお」
「……遠坂、身、軽いんだな。前は贅肉があるとか言ってたのに」
士郎が発言した瞬間、凛の額に青筋が浮かんだ。
あ、ヤバイ、あれはキレたぞ。
「おまえは俺か! この状況で何挑発するようなこと言ってんだ!」
「や、ちょっと思ったことがつい口に出て」
胸ぐらを掴んでガクガクと揺さぶる。
おちょくるのも素直な感想も結構だが、TPOは弁えてくれ。
さすがの俺でもそこは徹底してるぞ!
「も、もっかいダッシュー!」
三階から二階の廊下にフィールドチェンジ。
先程まで単発だったガンドが機関銃のような音を発している。
これ以上エスカレートすると通報されかねません。
「黎慈、反撃だ! バーサーカーと戦ったとき、なんかスゴい魔術使ってたじゃないか!」
名案とばかりに喜びの声を上げる。
そうして二人同時に凛に向き直り、敵を見据えた。
勇壮なる俺たちは、今、あかいあくまに立ち向かう!
「いいだろう、だがあの魔術は詠唱に時間が掛かる。具体的には15秒くらい。
この場合のセオリーとして、おまえが命を懸けて時間を稼げ、俺のために!」
「おう! 任せろ!」
バキュンバキュンズドォン!
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッ!!
「うん無理」
「うぉい、コラ!」
神懸かった奇跡的な回避をしながら再び逃走開始。
危険感知か高い危機回避能力のせいか、一刹那で不可能だと判断したらしい。
俺を置いていく勢いで再び逃げ出した士郎に、追走するように俺も走っていく。
「く、ダメだ! 一旦退避するぞ!」
最初に士郎と出会ったときのように、教室内に滑り込んだ。
次に何が来てもいいように身構える。
………………?
先程までと違い、うって変わったような静寂
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