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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
穂群原学園(U) 〜パニックソニックデッドコースター〜
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途端、廊下を全力疾走する何者かの足音。
ついでパキュンパキュンという謎の発砲音。
一体なんぞや。
「っ!?」
何者かが勢いよく扉を開き、ピシャンと閉じる。
「はぁっ、はぁっ、はぁ…………」
焦った様子で教室内を見渡し、俺の姿を見止めて走り寄ってくる。
衛宮士郎だった。
「良かった、黎慈助けてくれ!」
「…………非常に聞きたくないが。おまえ何やってんの」
「遠坂が突然喧嘩仕掛けてきたんだよっ! 人が居ないからって、学校でやり合うとか何考えてんだアイツ!」
何考えてんだコイツ。
そりゃそうだよ。
獲物が葱背負ってやって来たら仕留めにかかるだろうよ。
ここで俺がトドメ刺してやろうか。
続いて、こちらの位置とは反対側の扉から凛が顔を出す。
同時に俺の背中に隠れる士郎。
「おまっ、士郎テメェふざけんなよ!」
「ちょっと黎慈、そこどいて! ソイツ殺せない!」
指先をこっちに凝す凛。
黒守シールドを展開しながら、士郎は逃げる機会を窺っている。
凛に邪魔をしないと約束した手前、俺が士郎を庇うわけにも行かない。
というか、俺が士郎を庇う義理もない。
「待て凛。俺は離れるから、士郎はその後で好きに料理しろ」
「なっ……黎慈、おまえ裏切るのか!?」
「裏切るってなんだよ! 別に同盟組んでるわけでもねぇだろうが!」
訳の分からない発言を繰り出した士郎と言い合う。
しかしダメだ、非常時にテンパった人間は無敵だ。
理屈も筋も一切通っていない理論に何故か丸め込まれる。
「……いいわ、黎慈。そこを動かないで」
「? ああ」
どうするんだ?
そこから士郎を狙い撃ちにするのか?
凛は本気と書いてマジと読む目をしている。
その綺麗な指先に、魔力が集中しているのがわかる。
一瞬の緊迫。
俺が嫌な予感を感じて身を捻るのと、発砲音が響いたのは同時だった。
「うぉっ!?」
俺の後ろの壁が黒く焦げている。
何だ、今のは
呪い撃ち
(
ガンド
)
か?
ガンドってこんな直接的な効果を及ぼす魔術だっけ?
「おい凛! 今の確実に俺を狙ってただろっ!」
「そうよ? あんたにも私が天誅下してあげるから、士郎共々そこに直れっての!!」
そう叫ぶとすぐさま次の発砲。
本気だと判断した俺は教室から脱出し、士郎も俺に付いてきた。
二人の逃避行の開始である。
「不戦条約はどうなったんだよ!?」
「もう放課後なんだからあんなのとっくに無効よ!」
「め、めちゃくちゃだー!?」
士郎と二人して弾幕回避に専念する。
さぞかしご立腹なのだろう。
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