暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
穂群原学園(U) 〜パニックソニックデッドコースター〜
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 途端、廊下を全力疾走する何者かの足音。
 ついでパキュンパキュンという謎の発砲音。

 一体なんぞや。

「っ!?」

 何者かが勢いよく扉を開き、ピシャンと閉じる。

「はぁっ、はぁっ、はぁ…………」

 焦った様子で教室内を見渡し、俺の姿を見止めて走り寄ってくる。

 衛宮士郎だった。

「良かった、黎慈助けてくれ!」
「…………非常に聞きたくないが。おまえ何やってんの」
「遠坂が突然喧嘩仕掛けてきたんだよっ! 人が居ないからって、学校でやり合うとか何考えてんだアイツ!」

 何考えてんだコイツ。

 そりゃそうだよ。
 獲物が葱背負ってやって来たら仕留めにかかるだろうよ。

 ここで俺がトドメ刺してやろうか。

 続いて、こちらの位置とは反対側の扉から凛が顔を出す。

 同時に俺の背中に隠れる士郎。

「おまっ、士郎テメェふざけんなよ!」
「ちょっと黎慈、そこどいて! ソイツ殺せない!」

 指先をこっちに凝す凛。

 黒守シールドを展開しながら、士郎は逃げる機会を窺っている。
 凛に邪魔をしないと約束した手前、俺が士郎を庇うわけにも行かない。

 というか、俺が士郎を庇う義理もない。

「待て凛。俺は離れるから、士郎はその後で好きに料理しろ」
「なっ……黎慈、おまえ裏切るのか!?」
「裏切るってなんだよ! 別に同盟組んでるわけでもねぇだろうが!」

 訳の分からない発言を繰り出した士郎と言い合う。

 しかしダメだ、非常時にテンパった人間は無敵だ。
 理屈も筋も一切通っていない理論に何故か丸め込まれる。

「……いいわ、黎慈。そこを動かないで」
「? ああ」

 どうするんだ?
 そこから士郎を狙い撃ちにするのか?

 凛は本気と書いてマジと読む目をしている。
 その綺麗な指先に、魔力が集中しているのがわかる。

 一瞬の緊迫。

 俺が嫌な予感を感じて身を捻るのと、発砲音が響いたのは同時だった。

「うぉっ!?」

 俺の後ろの壁が黒く焦げている。

 何だ、今のは呪い撃ち(ガンド)か?
 ガンドってこんな直接的な効果を及ぼす魔術だっけ?

「おい凛! 今の確実に俺を狙ってただろっ!」
「そうよ? あんたにも私が天誅下してあげるから、士郎共々そこに直れっての!!」

 そう叫ぶとすぐさま次の発砲。
 本気だと判断した俺は教室から脱出し、士郎も俺に付いてきた。

 二人の逃避行の開始である。

「不戦条約はどうなったんだよ!?」
「もう放課後なんだからあんなのとっくに無効よ!」
「め、めちゃくちゃだー!?」

 士郎と二人して弾幕回避に専念する。

 さぞかしご立腹なのだろう。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ