暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
穂群原学園(U) 〜パニックソニックデッドコースター〜
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うのも教えたでしょ」
「確かに聞いたなぁ。つっても、凛は大体の事は受け流すだろ?
 おまえをおちょくるにはセクハラ系統がいいって研究成果が出てるのさ。まだ耐性ないみたいだからな」
「まずおちょくるのをやめようって発想はないのかしら」
「何言ってんだよ。おまえからして人をおちょくるのが好きなくせに」
「う…………」

 好きと言えば語弊があるかも知れないが、大きくは間違っていない。

 相手の弱点や苦手分野を指摘するのを躊躇しない性格なので、結果的に相手がぐうの音も出せない状況になる。
 自身の優位性を確保した状態でチクチク相手を苛めるため、端から見ればからかうのを楽しんでいるように見えるのだ。

 というか、反論できなかった時点でコイツもそういう性格なのは明らかである。

「たまには弄られる側の気分も味わってみろよ」
「……ふん。最近はずっとな気がするけど」
「偶々だ」

 中学を卒業してからは凛に対する過度な接触は控えていた。
 互いに魔術師としての生き方も定め始める頃だし、無闇に絡むのも遠慮していたのだ。

 聖杯戦争のせいで今は話す機会が増えているが、この戦いが終わればまた元の距離感に戻るだろう。

「そうやって調子に乗ってると、いつか手痛いしっぺ返し食らうんだから」
「はははっ、そこは巧く立ち回るさ…………って、予鈴だな」

 学園に響き渡るチャイムの音。

 弁当箱を包みに仕舞う。
 パンパン、と土埃が付いた部分を叩きながら立ち上がる。

 大きく伸びをしながら凛と屋上の扉に向かう。

「じゃ、また放課後にな」

 後の行動方針を決定し、俺たちはそれぞれの教室に帰った。















 夕暮れの緋色に染まる教室。

 凛と手分けして結界の基点を探しているが、成果はあまり芳しくない。

Decode(解読), Analyze(解析), Interpret(解明)…………新しい結界の基点……構造自体は変わってないな」

 以前の基点も順繰りに閉じてまわっているが、新しく刻まれた呪が中々面倒な位置に設置されている。
 内部構造は変わっていないので閉じる作業は容易だが、決して狭くはない学園敷地内では見つけるまでがかなりの労力だ。

「────────」

 結界の基点にとって異物である、俺の魔力を流し込んで循環を停める。
 組み上げられている式を一つずつ凍結させ、折り畳むように閉じていく。

 閉じるのが容易なのはいいが、向こうが基点を修復するのも簡単なのが痛いところだ。

 これだけの優れた結界を扱える魔術師を誉めるべきか、責めるべきか。

「…………ん?」

 今、何か聞こえたような?

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