暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
穂群原学園(U) 〜パニックソニックデッドコースター〜
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
凛を宥めすかせば当面は解決だ。
 今朝の件について凛には自覚がないので、これは放置が安定だろうと判断。

 だから今は結界の対処について俺は話し合いたいのだが…………

「なんなのよ、もう! 頭悪すぎるでしょ士郎!」
「落ち着けー、優等生の皮はどこにいったー」

 当人は先ほどから怒り心頭です。
 うー、と唸りながら、憤りを隠そうともしていません。

 確かに士郎の能天気さは神懸かっているが、そこまで目の敵にするほどでもないだろうに。
 拠点である屋敷の場所も判明しているし、マスターとしての性能やサーヴァントであるセイバーの基本能力も把握している。

 宝具にのみ警戒し、戦略と詰めを誤らなければいつでも潰せる相手だ。
 必要以上に拘りを持つと、ロクな結果にならないことは目に見えている。

「まぁまぁ、俺たちだって学校には来てるわけだし」
「私たちは色々取り決めてあるし、周囲や相手への警戒心もあるじゃない。衛宮くんのあれはボケてるとかじゃない、絶対に私たちを嘗めてるのよ」
「そんなことないって。昨日の今日でそこまで抜けてたらもはや病気の類だろ」
「衛宮くんは素人のくせに、サーヴァントさえ連れていないのよ?
 アイツはっ、今っ、自分がっ、置かれているっ、状況がっ…………なんら一切っ、わかっていないのよッ!!」
「……わかったわかった、抑えて抑えて。じゃなきゃ俺の鼓膜が破れちまう」

 寒空に響き渡る憤怒の声。
 空気をビリビリと伝播する叫びは、耳を塞いでいたって聞こえるほど大きい。

 今にも駆け出して士郎にヘッドロックをかけた挙げ句、Dead or Alive(生きるか死ぬか)を迫りそうな勢いだ。

「じゃあせめて授業がある時間帯だけは見逃してやろうや。万が一人が居ない時間まで残ってたりしたら好きにすればいい」
「なに、そのときは邪魔しないの?」
「なんで邪魔するんだよ。そこまで無自覚な奴ならどうせ近いうちに脱落するだろうから、狩るならどうぞご自由に」

 友人としてある程度は情けをかけてもいいが、一定の域を超えたらこちらの知ったことではない。

 俺の知らない場所で勝手に死ぬならそれで構わない。
 いや、たとえ死ぬと知っていたとしても、それが俺の目の前でもなければ助ける義理などない。

 天性のお人好しでもあるまいに、誰でも彼でも助けていたら命がいくつあっても足りないんだから。

 手の届く範囲なら助ける。
 俺の能力の埒外にあることや、そいつの自業自得なら助けない。

 それが俺の、他者に対する信条の一つだ。

「そんなことより、今は結界をどうするかが先だろ」
「確かにね……まさか昨日一日で復元されるとは思わなかった」
「相当な暇人だよな。相変わらず優れてんのか
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ