六話(終)
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、半鳥半人の姿をした電子精霊の母シュナイバルだ。
「ま、電子精霊は元々サヤの劣化コピーだし出来ると思うわよ」
電子精霊をモノ扱いするのに皆不快感を禁じえないが文句を言っても始まらないことも分かっているため口には出さない。
「それに幾ら頑張っても核となる人物がいないとだめよ。それはあなたね」
エルミの視線の先にはニーナがいた。
「私が?」
「そうよ、あなたは武芸者であると共に電子精霊でもある。ただ憑依しているだけじゃない、無理に延命するために欠損を電子精霊で補っているわけでもない。文字通り一心同体となってるって訳」
廃貴族のように寄生と宿主の関係ではなく、ジルドレイドのように死に掛けた者と一種の生命維持システムのような関係でもない。
完全に同一となっていて分かれるという事は不可能となっている。もしも強制的に分離させられた場合ニーナも幼き電子精霊も死ぬことになる。
「あなたはアイレインとサヤの子と言ってもいい存在なのよ。覚醒してないだけでやろうと思えばサヤと同じ能力を発揮できるはずよ。そんな人間は他にはいないわね」
「それなら」
「但しあなたは死ねないわよ。あなたが死ぬと言うことはこの世界の死を意味するのだから。今のあなたの知り合いが皆死んでも生き続けなければいけない。どれ程の孤独を感じようとも周囲の全てが変わっていく中で唯一変わることを許されないのよ。簡単じゃないわ」
エルミは淡々と語るがその内容はゾッとするほどの迫力を備えていた。
「ニーナだけに背負わせるなんて出来ません、私達には何も出来ないんですか」
クララの叫びに答える声はない。ニーナと言う人物が持つ状況の特殊性、それを鑑みるとただの武芸者に過ぎない自分達ができることなど何も無いと言わざるを得ないからだ。
「一応何も手が無いってわけじゃないだろ、エルミ」
「どういうことかしら、私が間違っているとでも」
挟まれたのは予想外の人物、アイレインだった。
「サヤの力が発現するのなら俺の右眼も出ておかしくないだろ。俺みたいに取り込めば共に居る事も不可能じゃないだろ」
「そんなの詭弁ね、自分の意識の中だけなんて幻聴と同じじゃない。実際に会えないんだから……とは言ってもそれが限界かもね。それであなたはどうなの」
蚊帳の外に置かれていたニーナに再び話が向く。
「例えそうだとしても私がやらねばならんのだろう」
「ニーナ、そんな事は……」
「これは私以外には出来ない事だ。それにこれからのことなどわからない」
クララとしても引き下がりたくは無いが引き下がらざるを得ない。
「シュナイバル」
『ええ、分かっています』
シュナイバルが答えると電子精霊が集結しニーナに向かっていく。
余りの光に皆が目を閉じ、光が収まり目を開けると電子精霊の姿は無かった。
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