六話(終)
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静かになった戦場、そしてそれを取り囲む都市からは歓喜の声が沸き立っていた。
「アイン」
「サヤ、これでお前の眠りを妨げるものは無くなったな」
近寄るサヤに答えるアイレイン。だが、
「実はそうでもないのよ」
横から割り込む声、その主は額に宝石を持つ黒猫だった。
「どういう事だエルミ」
エルミ・リグザリオ、アルケミストの一人でこの世界の創世にも関わりがある者。外見は猫の姿だが実際には七色に光る宝石内の異空間にいる。
「簡単なことよ、あなたが月の姿をやめて元に戻ったからこの世界を維持できなくなるのは当たり前でしょう」
「いや、あれはエネルギーの供給をエルミに替わってやるためで、壊されたのを直す時間は十分に合っただろう」
「在ったわよ、時間は。やる気が無いからやってないけどね。当たり前でしょ、私にとってはイグナシスとその手下を殺す事だけが目的で他はどうだっていいんだから」
「なら俺が……」
「耐えられるかしら、昔のあなたなら兎も角今のあなたに」
「えーっと、話してるところ悪いんだけど説明してくれるかしら」
よくわからないが不穏に聞こえるとアルシェイラが口を挟む。
「別にいいわよ。この世界はサヤが造ってサヤが維持している。でもサヤだけで完結してるわけじゃない。アインが必要だったのよ。この世界そのものはサヤの力によるものだけど環境だとかそういった人が生きるのに必要なものはアインがいないと成り立たないようになってたの」
「それじゃどうして対処しようとしないのよ」
「興味が無いからよ。もう私にとってこの世界があろうと無かろうとどっちだってかまやしないから」
「なんですって」
「やめろ、エルミはそういう奴だ。文句言っても始まらん」
激昂してエルミに掴みかかろうとするアルシェイラをアイレインが止める。
「でもどうにも出来ないって言ってるわけじゃないわ、アインとサヤの代わりを作ればいいのよ」
「俺はともかくサヤまで必要なのか」
「それはそうよ、サヤにだって限界があるんだもの。サヤが存在することに問題は無くても機能として次第に劣化することは避けられないでしょ」
つまるところこの世界という大枠を維持するサヤと、それに対しエネルギー供給という形で内部環境の継続性を維持しているアイレイン。この二人と同じ働きをするものが必要となっている事だ。
「そんなものどうしろって言うんですかね」
重大なことは理解していても解決策など女王や天剣にだって見出せはしない。汚染獣と殴りあうことにかけては他の追随を許さないが所詮この状況で必要なものではない。
『サヤの代わりならば妾達が務める事が出来ましょう。そもそも電子精霊はサヤの機能を基にしたもの。みなの力を集め純化させればそれも可能でしょう』
そう話してきたのは両手は鳥の羽だが姿は人
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