暁 〜小説投稿サイト〜
Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#1 鉱山の町アクゼリュス
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とした。
「あっ……」
突然、身体を起こした為、頭が揺れる。まるで、大地が いや空間そのものが揺れているかの様に錯覚し、倒れそうになってしまう。
「あ! ダメっ ムリをしちゃダメよ? だって、あなたは5日間も眠っていたんだから。まずは安静になさい。はい、食事を持ってきたわよ。」
倒れそうになる自分を支えてくれた。そして、その上食事まで用意してくれていた。支えてくれた温もりと、良い香り。それらを身体が認識したと同時に、身体の芯から安堵感も生まれた。安心していいんだ、と本能的に判った様だ。
「っ……。本当に何から何まですみません…。……ありがとうございます」
見知らぬ他人である自分にここまでしてくれる。嬉しくて、そしてありがたくて。感謝の言葉しか、出てこなかった。
「ふふふ、困った時はお互い様。さあ、まずは体を元に戻しなさいな。 サラ? お兄ちゃんの看病をよろしくね」
「はぁ〜〜いっ!」
呼ばれた少女、サラは自分のすぐ側までやってきて、備え付けられているベッドの側のイスに座った。
「おにぃちゃん! わたしがかんびょうしてあげるからねっ! はやくげんきになってね」
それは、満面の笑顔だった。
「うん……。ありがとう………」
声を搾り出すように、自分の今の気持ちを搾り出すように、今の思いを伝えた。
この世界に目覚めて最初の1日はこのように始まったのだった。
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