第79話 =終わって始まる物語=
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リーファに腕を引かれながらよろめきながら、さらには何度も翅を止めてしまい落下しそうになることも多かったが数分の格闘のおかげでリーファのように綺麗にいかずともほんの少しだがコツっぽいのは判った。
「……こう?」
「うん、そんな感じだよ」
パチパチとリーファは拍手をしながらポケットから不思議な瓶を取り出す。栓を抜くとそこから銀の光の粒があふれ出しそれにあわせるかのように弦楽器の伴奏が聞こえてくる。
「エスコート、してくれる?」
「俺…踊りなんて全然やったことないからな…でも、やってみるよ」
「頼りにならないなぁ……」
ここで踊れるって言った方が恥ずかしいっての。まぁ、踊るのは楽しめばいいからその前の場面作りにはそれにあった言葉を言わないとなってことでどこかのテイルズの小説で読んだ台詞を思い出す。確かこれも舞踏会での台詞だっけ…など昔のことを思い出して右手を差し出す。
「よし…。…じゃ、踊ってくれますか、お姫様?」
「……はい、喜んで!」
リーファは俺の手に優しく自分の手を乗せるとゆっくりとステップを踏み出す。それにあわせて俺も翅を動かしてステップを行う。時々両手を握って近づいては、片手だけ離して離れてくるくる回ったりとアドリブだが互いの目をみてタイミングを合わせて宙を舞う。だが、そんないつまでも続くかと思うほど楽しい時間もリーファが手を離し、体を遠ざけたことで終わってしまう。
「リーファ…?」
「…あたし、これで帰るね…」
言っていることがさっぱり判らずに理由を聞くとリーファの顔は悲しみ一色で、今にも涙が零れそうな、そんな表情だ。
「…遠すぎるから……陸也やお兄ちゃんのいる……皆のいる場所が…。あたしじゃ…そこまで行けないよ…」
「……そんなこと、ない」
「でもあたしにはあの城の思い出……絆なんてない!!」
涙を流しながらリーファは大声で叫ぶ。
「だったら、今からでも作ればいい!リーファ…いや、スグが行けないって壁にぶち当たったら俺が、キリトが…皆がお前をその先へ連れてってやる!」
踊るときとは考えられないほど強引にリーファの腕を掴んで、先ほどまで鬼ごっこをしていたイグドラシルシティまで有無を言わせず加速する。時間は0:00の1分前、ギリギリ間に合うか…?でも時間は優しくなく世界樹に迫って数十秒後、何十にも重なった鐘の音が響き渡る。アルヴヘイムの0時を知らせる音だ。残念と思いながら素直にブレーキをかける。
「わぁっ!?」
「……ちょっと遅かったかな…」
「な、何が…」
リーファの質問には答えずにそのまま上空に浮かぶ満月を指差す。まだ変化が見えないのでリーファも不思議そうな顔をしているが次の瞬間、その表情も驚きへとどんどん変
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