第一章 土くれのフーケ
第七話 未知数の実力
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け続ける士郎の様子を見て焦ったギーシュは、士郎の周囲をワレキューレで取り囲むと、一斉に攻撃を仕掛けさせる。猫の子一匹逃がさない包囲網からの同時攻撃。避けることなど不可能。
そんなギーシュの考えは。
「だから、遅いと言っているだろうが」
周りを取り囲んだワレキューレが、飛び掛かかろうと膝を曲げた一瞬の死に体の瞬間を狙って、ワレキューレの間にある僅かな隙間をすり抜ける。
ワレキューレの間をすり抜けた士郎は、勢いをそのままにギーシュの前へと進み。
「なっ、ちょっ!」
「一つ」
目の前に現れた士郎の姿に驚き慌てるギーシュの頭へ、途中で拾った木の枝を降り下ろす。
「ッ痛!」
パシンという快音と共に頭を叩かれたギーシュは、反射的に頭を抑えながらうずくまる。
「さてと、まだやるか?」
「なっ、ナメるな〜!」
手に持った木の枝で肩を叩きながら、士郎が蹲るギーシュを見下ろしながら続けるかと問う。それに対し、激高し勢いよく立ち上がったギーシュは、再度ワレキューレに命じて士郎に攻撃を仕掛けた。
所変わってここは、決闘が始まる少し前の学院長室。
そこでは、オスマン氏とコルベールが向かい合って話しをしていた。
「しかしの〜、“虚無”については、以前さんざん調べたしの〜。今さらもう一度調べてみるのもの〜」
「オールド・オスマン、そう言われても、もう一度調べて見たら何かあるかも知れませんし」
コルベールは、立派な机の上に乗り掛かりながら文句を言っているオスマン氏を何とか説得しようと試みているが、オスマン氏のやる気を出させることが出来ないでいた。
「はぁ〜。そう言われてもの〜。な〜んかあの男に言い様に扱われてる気がするしの〜」
「オールド・オスマン、それは考え過ぎですよ。それに、言い様に扱われても生徒のためになるのですから」
「まあ、それはそうじゃが」
コルベールの説得が効果を表して来た所に、ドアをノックする音が鳴った。
「誰じゃ?」
ドアの向こうから、ロングビルの声が聞こえてきた。
「私です。オールド・オスマン」
「なんじゃ?」
「ヴェストリの広場で決闘が行われており大騒ぎになっています。止めに入った教師がいましたが、生徒たちに邪魔をされ、止められないようです」
「全く、暇を持て余した貴族ほど性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるんじゃ?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモンです」
「あの、女好きのグラモンとこのバカ息子か。親父は色の道では豪の者じゃったが、息子はそれに輪をかけて女好きじゃ。ま、おおかた女の子の取り合いじゃろう。そんで、相手は誰じゃ」
そう言ってオスマン氏は、ずいぶん前に入れた温くなったお茶を
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