第一章 土くれのフーケ
第七話 未知数の実力
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シロウ……あなたの実力見せてもらうわよ」
小さく呟いた。
ヴェストリの広場は、魔法学院の敷地内にある“風”と“火”の塔の間に位置する中庭である。西側にある広場なので、そこは日中でも日があまり差さず、人は滅多にこない。つまりは決闘にはうってつけの場所である。そんな人気もなく陰気な場所であるヴェストリの広場に今、噂を聞きつけた生徒たちで溢れかえっていた。
「紳士淑女の諸君っ! 決闘だ!」
ギーシュが薔薇の造花を掲げると、ウオーッ! と周りから歓声が湧き上がった。
「ギーシュが決闘するぞ! 相手はあのゼロのルイズのところの平民の使い魔だ!」
歓声が聞こえる中、士郎はどうやって勝つか腕を組んで考えている中、ギーシュは腕を振って、歓声に応えている。
ある程度満足がいったのか、歓声が少し静かになっていくと、余裕綽々な顔付きで士郎に顔を向けた。
士郎とギーシュは、広場の真ん中に立ち。ギーシュは士郎を睨みつけ、士郎は挑発的な目つきでギーシュを見ていた。
「―――とりあえず逃げずに来たことは……褒めてやろうじゃないか」
ギーシュは薔薇の花を弄りながら、どこぞの劇の役者のような身振りをする。
「逃げる必要が見つからないからな」
「ふんっ、それじゃ始めるとしようか」
薔薇の花を士郎に突きつけるギーシュ。
「開始の合図はどうする?」
「そうだね、君の好きなタイミングで構わないよ」
そう口にしたギーシュは士郎を余裕の笑みで見つめると、薔薇の形をした杖を振った。宙に舞う7枚の花弁が地面に落ちると、甲冑を着た女戦士の形をした人形になる。
身長は人間と同じぐらいだが、硬い金属製で出来ているようだ。
ゴーレムが7体、材質は青銅。厚さはそこまでないな。さて……どう料理するか。
現れたゴーレムを冷静に分析しながら士郎は攻略の方法を考える。
「へぇ、驚かないんだね。そうそう、僕はメイジだ。だから魔法で戦うよ。よもや文句はあるいまいね」
「好きにすればいい。どうせ結果は変わらないからな」
「そうかい。それでは、“青銅”のギーシュがゴーレム“ワレキューレ”が相手をするっ!」
ギーシュがそう言うや否や。女戦士の形をしたゴーレムたちが、士郎に向かって一斉に突進する。青銅製のワレキューレの拳や足が、凶器となって士郎に襲いかかる。常人では躱すどころか防御することすら難しい攻撃を。
「―――遅い」
しかし士郎は余裕を持って避けていく。
「なっ、なんでっ?!」
士郎は前後左右から襲ってくるワレキューレの拳を必要最小限の動きで避ける。当たりそうで当たらない。紙一重で士郎はワレキューレの攻撃を避け続ける。危なげもなく涼しい顔でワレキューレの攻撃を避
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