第一章 土くれのフーケ
第七話 未知数の実力
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った。
「ふ〜ん。どうやら君は、貴族に対する礼儀と言うものを知らないようだね」
「あいにくとこちらは一般市民の出なんで。そう言った礼儀には疎くてな。気に障ったようなら謝ったほうが良いか?」
士郎が肩を竦め馬鹿にしたような態度をとると、ギーシュのこめかみがビクビクと動いた。
「ふ、ふんっ。なら君に礼儀を教えてやろう。ちょうどいい腹ごなしだ」
ギーシュは士郎に指差すと、苛立たしげに椅子から立ち上がる。
「是非ともその礼儀というものを教えてもらいたいな」
士郎は馬鹿にするように鼻で笑う。
「それで、礼儀とやらは一体どこで教えてもらえるんだ?」
ギーシュは、くるりと体を翻して食堂の出口に向かって歩き出す。
「仕事が終わったらヴェストリの広場に来たまえ。ああ、一応注意しておくけど、最後の仕事になるかもしれないからって、あまり時間を掛けないでくれよ」
笑いながらそんな事をのたまってギーシュが去っていく姿を見た友人たちは、わくわくした顔で立ち上がると、足早にギーシュのあとを追っていく。
しかし、その中の一人が、何故かテーブルに残っていた。士郎を逃がさないために、見張るつもりなのだろう。
一部始終を見ていたシエスタが、不安気に身体をブルブルと震わせながら士郎を見つめている。
「し、シロウさん、殺されちゃう……。貴族を本気で怒らせたら……」
シエスタは震える体で士郎に詰め寄ってくる。
「シロウさんっ。早く謝りましょう。謝ったらきっと許してくれますよ」
詰めよってきたシエスタの頭に手を置き軽く撫でた士郎は、シエスタの手にあるケーキが乗ったトレイを取り上げると、軽く肩を竦めてみせた。
「ま、何はともあれ、さっさと残りのデザートを配るか。この程度の事でシエスタへの礼にケチを付けられても困るからな」
「―――本当に大丈夫なの?」
「ん? まあ、気にするな」
士郎が給仕の仕事を終え、ギーシュの待つヴェストリの広場へ向かおうとすると、それを待ってたかのようなタイミングでルイズが士郎に声を掛けてきた。
「大丈夫さ。まあ、安心して見ていてくれルイズ。折角の機会だ。ルイズが一体どれほどの使い魔を召喚したのか見せてやるよ」
「……そう。ええ、分かったわよ。楽しみにしてあげるから、無様な姿だけは見せないでね」
士郎の自信に溢れた言葉にルイズは微かに笑みを浮かべた。
「おい、それでヴェストリの広場と言う場所は何処だ?」
士郎を見張っていたギーシュの友人達に行き先を聞くと、その内の一人が顎をしゃくって歩き出した。
「こっちだ。平民」
それについていく士郎の後ろ姿を、好奇心に瞳を輝かせながらルイズが見つめ。
「
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