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環の理
鋼の錬金術師
傷の男
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 少年――『鋼の錬金術師』――と会ってから約二年が経った。大きな戦が発生しない所為か昇進のチャンスがない。いや、別に戦う事だけに長けている訳じゃないんだけど。



 「シルバーバーグ大佐ー」

 「うぃー?」

 「『綴命の錬金術師』の護送任務に大佐も連れてけだってよ」

 「えー?ヒューズ中佐とアームストロング少佐だけでいいじゃんよ」

 「最近何かと物騒ですからな。グラン准将も何者かにやられてしまいましたし」

 「……はぁ、仕方がない。行ってやりますか」



 仕事も一段落終えたし、イーストシティまで付き合ってやりますか!





 〜〜〜〜〜〜





 「……と思っていた時期が私にもありました」



 イーストシティに付き添いで来た私だが、何だか変な事態になってるみたい。



 「おいおいマスタング大佐よ。俺ぁ生きてるタッカー氏を引き取りに来たんだが……死体連れて帰って裁判にかけろってか?」

 「どーゆー事だよ!?Do you Know!?」

 「静かにしてくださいシルバーバーグ大佐」

 「うぃー」

 「たくよー俺達は検死する為に態々中央から出向いた訳じゃねえっつーの」

 「こっちの落ち度は分かってるよヒューズ中佐。とにかく見てくれ」

 「ふん……自分の娘を実験に使うような奴だ。神罰が下ったんだろうよ」



 死体に掛けられた布をヒューズ中佐がめくる。全身血だらけでぼろぼろになった死体がそこに会った。イシュヴァールでもなかなかお目にかかれなかった死体だな。



 「うええ……案の定だ」

 「何か内側から破壊された跡がある……(錬金術か?)」

 「憲兵も同じ死に方をしていたそうだ」

 「どうだアームストロング少佐?」

 「ええ、間違いありませんな。“奴”です」





 〜〜〜〜〜〜






 “奴”、とは傷の男(スカー)の事だ。素性不明、武器不明、目的不明で神出鬼没。トーレドマークの額のバッテン傷しか分かってない闇に紛れし暗殺者。



 「―――ま、ここらで有名所と言ったらタッカーと後はお前さんだけだろ?」

 「…………」

 「タッカーがあんなになった以上、お前さんが気を付けてさえいれば……」

 「不味いな……」

 「?おい!」

 「エルリック兄弟がまだ宿にいるか確認しろ。至急だ!」

 「あ、大佐。私が司令部を出る時に会いました。そのまま大通りの方へ歩いて行ったのまでは覚えています」

 「こんな時に……車を出せ!手の空いてる者は全員大通り方面だ!!」

 「行ってらー」

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