反転した世界にて8
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た。
――多分、さっきのが、会話に入るチャンスってやつだったのだろう。
そのタイミングを見切れなかった僕は、結局朝のHRの時間がやってくるまで、彼女たちの会話が終わるのを待っていることしかできないのだった。
◇
「赤沢さん。これから暇?」
「え?」
そう言って、背後から僕に話しかけてきたのは、今朝方、白上さんと何やら話をしていた、おげちゃ女子だった。
時は放課後。半ドンの授業を終えて、いざ作戦を決行しようと、白上さんの席へと向かおうとしていた僕は、再びその半ばで行く手を阻まれることとなる。
「あたしら、今日遊びに行くんだけど。赤沢さんさえよければ、一緒に遊びに行かない?」
「勿論、男子も誘ってるよ。園原さんとかも来る予定〜」
「えっと……」
おげちゃ女子の背後には、クトゥルフ系女子に、肉鎧女子も控えている。
……これは、何とも。生まれてからこの方、誰かに遊びに誘われるだなんて経験は、初めてのことだ。
しかし全然嬉しくない。あと、園原さんって誰だよ。どこかで聞いた覚えもある気はするけど。
平時であれば、多少心を動かされもしただろう。ところが今の僕は、既にもう白上さんとどこかへ遊びに行くことしか考えられない。むしろ、二度にわたってそれを邪魔されているこの現状に、少しばかり腹を立てているくらいだ。
チラリと、おげちゃ女子たちの更に背後――白上さんの席の方へと、目線を向けると、
「――!」
彼女も、僕の方を伺っていたのだろう。ばっちり目線が噛み合ってしまう。しかし、白上さんはすぐさま視線を逸らして、明後日の方向を向いてしまった。まるで最初から、僕の方なんて気にしてませんよ、と言わんばかりに。
流石の僕も、ここでショックを受けるほどナイーブではない。
――というか、ほんの少し頭をひねって考えれば、白上さんにとってこの状況がどういう意味を持つのか、推測を立てることは容易い。
おげちゃに、クトゥルフに、肉鎧。三人が三人とも、なんというか如何にも自分に自信を持っていそうな立ち振る舞い。そして、僕に対してやけに好意的というか、身も蓋もない言い方をすると、下心すら感じるくらいの雰囲気だ。
おまけに、周囲の男子たちからのやっかむような視線。
あぁ、価値観が違うんだなぁ、と。こういう状況でこそ、強く痛感せざるを得ない。わざわざ説明をするまでもないだろうけれど。
――彼女らは“この世界ではかなりの美少女たち”。
そんなイケてる女子たちがくれた初めてのお誘い。その味は甘くてクリーミィで(この世界の価値観的に)、
こんな素晴らしいお誘い(この世界の価値ry)をもらえる僕は、きっと特別な存在(この世界ry)なのだと感じました。
今では僕が美男子(このry)
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