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少女1人>リリカルマジカル
第三十話 少年期L
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うなの?」
「まぁ、給料がもらえるっていうのは魅力的だが」

 引っ張られまくった頬に手を当てながら、俺は先ほどの話の続きに戻った。それにしてもちくしょう、店主め。覚えていろよ。引っ張られている間、ずっと腹抱えて爆笑しやがって。今度は奥さんが超笑顔になりそうなことを色々ふき込んでおこう。

「宣伝が苦手だったら店番でもいいんじゃね? この店って雰囲気がかなり独特だから、ご新規さんが尻込みしちゃうんだ。でも店に子どもや犬猫とかがいると入りやすいじゃん」
「いや雰囲気もあれだが、まずはサメのリアル模型置くような店に普通来れねぇだろ。あと俺は犬猫と同じ扱いか」
「その混沌さがこの店のチャームポイントだと誤魔化しながら、頑張って宣伝するのが俺たちバイトの役目だろ」
「それがミッドに浸透したら何かが終わる気がするんだが。……それと、さり気なく俺をカウントするな」

 エイカにぐちぐち文句を言われたが、最終的にはOKをもらうことができました。やはりバイト料とバイト員特典をチラつかせたのが勝利のカギだったか。新商品のインスタント食品でここまで釣れるとは。俺ですら一歩引いた、少年Eとの食い物談義は熱かったもんな。

 あとは子どもらしく漫画やアニメ見放題も効いたらしい。やっぱり子どもを魅了するのはこういうものだよな。日本のテレビコーナーに映るウルトラな方や、はやてさんのように狸と認知されてしまうロボットの話。改めて見てもつい見てしまう。これが名作か……。

「この髪いったいどうなってるんだ。ここまで盛ってクルクル巻けるって。服も全員熱そうなものしか着てないし…。しかもなんで宮殿ってこんなにも広くて、豪勢にしなきゃだめなんだ? わけわかんねぇ。でもこういう戦いもあるのか……」
「あの、エイカさん。こっちのアニメはいいの? 確かにそれも名作には変わりないけど」

 ぶつぶつ言っている内容はアニメのツッコミっぽいけど、めっちゃ真剣に見ている。まさかそのアニメに嵌るとは予想外だった。熱いストーリーだってのは聞いたことがあったけど、実際に視聴したことがなかったから何とも言えないのだが。まぁ、いっか。


 それからアニメを2人で見て、感想を言い合いながら『ちきゅうや』での時間は過ぎて行った。その後、お店の常連さん達に挨拶をしたり、店内の掃除を一緒にしたり、店主さんからもらったお菓子を頬張ったりした。なんだかんだでエイカの弾んだ声が聞けて良かった。

 少しずつでも変わったり変えていったりする世界。将来はどうなるのか漠然としているけれど、こんな風に楽しく笑っていられたらいいな。おいしそうに饅頭を食べるエイカを見守りながら、俺も最後の一切れを完食した。


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