第三十話 少年期L
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そんなこんなで、妹のお友達デビューはできましたとさ」
「そりゃよかったな」
次の日、俺とエイカは表通りの道を歩いていた。昨日あった話をすると、はいはいと肩をすくめながらも聞いてくれる。なんだかんだで律儀な性格だよな、エイカって。
「でさ、その子も俺たちと同じように学校に行くために買い物をしていたみたいなんだ。しかも同じ学校だったみたいで、アリシアそれ聞いて嬉しそうでさー」
「はいはい。……学校ね」
小さなつぶやきをこぼすエイカに俺は少し口を噤む。どうかしたのか、と聞きそうになったが気づかなかったふりをしてそのまま話を続ける。でも話題は変えておいた方がいいかな。なんかあんまり触れてほしくなさそうなのはわかるし。
エイカもすぐに、いつも通りのふてぶてしそうな表情になっていた。エイカみたいなタイプは初めてだから、距離感がちょっと難しい。いったいどこまで踏み込んでいいのやら。予想だけど、多分その距離感を間違えればこの関係は終わる気がするのだ。
エイカも俺のことを聞いてきたりはほとんどしない。それはきっと遠慮ではないと思う。明確に壁が作られているのが感じ取れるし。なら俺は気づかないようにすればいい。相手が嫌がっているのなら俺は干渉しない。でもフォローできるならする。そんな距離感が、俺とエイカの中で当たり前になっていた。
「そうだ。なぁなぁエイカ。今度妹を公園デビューさせてあげたいんだ。新しくできた友達も一緒に」
「はぁ? ……まぁいいんじゃねぇの。あいつらノリが良過ぎるぐらいアレな集団だし」
「ノリいいよねー、本当に。この前やった『地球の遊びを体験しよう大会』も盛り上がったよな」
思い出すのはいつもの子ども達との楽しいふれあい。少年Cがハメをはずし、少年Aが巻き込まれ、少女Dが取り押さえ、少年Eはわれ関せず駄菓子を頬張り、少年Bがすべてにツッコむ。ツッコミ終わってほっとした少年Bの横で俺がさらに場を混沌とさせ、エイカが最後に沈める。だいたいこんな毎日である。
「なんだろう。それにお前の妹が加わるってまじか。絶対マシなことにはならない予感しかしないんだが」
「ご期待に添えそうでなにより」
「否定しろよ」
うちの子は喜んでカオス空間に突入できますから。
「……でだ。ぐだぐだ喋りながら歩いていたけど、ここが向かっていた目的地であると」
「そうだよー。なんでそんなに『うわぁ…』みたいな表情するのさ」
目的地に到着した途端、めちゃくちゃ嫌そうな顔をされた。
「なんだこの異界」
「いや、普通にお店なんだけど。確かにカオスだけど、気づいたらどっぷり飲み込まれている場所ではあるけれど」
「説明聞いてもっと関わりたくないんだが」
俺が今日エイカとやってきたのはお馴染み『ち
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