第三十話 少年期L
[5/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
心に勉強しているそうだ。確かに社会人になった記憶があるからわかるけど、仕事に就くと普遍的な知識より専門的な知識の方が使う場面が多くなる。知識はあるのだから即戦力としては使えるのだろう。経験だって後からついてくる。俺としては、そんな考え方もあるのかとびっくりしたな。
とまぁ、細かいところは多々あるが割愛しておこう。要は幼い内に将来を決めている人は、さっさと将来に向けて勉強することができる環境というわけだ。もちろんまだ決まっていない人の方が多いだろうけど、その時は普通に学校に行って、好きに選んでいけばいい。20代から仕事に就く人だっているんだし。
俺としては普通に進学していくつもり満々である。ゆっくり勉強して、やりたい専門教科を習って、10代後半か20代ぐらいにでもちゃんと考えたらいいやと思っている。別に早くから自立しなくてもいいよね。母さんのご飯おいしいし、1人暮らししたいとも思わないし。ぶっちゃけそんなに難しい勉強もしたくない。
『あぁ。つまり根本的なところがずぼらなのですね』
「子ども時代謳歌して何が悪い。最終的にヒモにならなければいいんだよ」
『うわぁ…』
……親孝行はちゃんとできるように考えてんだからいいだろ別に。
「お兄ちゃんって学校のこと詳しいよね」
「え? あ、まぁうん。ちょっとはね。なんか気になることでもあったのか?」
「その、学校ってお勉強するところなんだよね。先生がいて、たくさん子どももいて……」
あっているかな、というように俺の目を見つめる妹に俺はうなずいてみせる。アリシアが学校を楽しみにしているのは知っている。学校が決まった時なんて実際に見に行ってみたい、と一緒に見学したこともあった。新しい勉強道具に嬉しそうに笑う姿も見ていたからだ。
だけど何か心配なことでもあったんだろうか。俺が話の続きを促すと、アリシアは少し顔を俯かせる。それに金色の髪が肩から前に垂れ下がり、妹の膝の上に舞った。
「あのね、私……お友達できるのかなって」
「あぁ、なるほど」
肩をすぼめながら話す妹の姿に、俺はアリシアが不安に思っていることがようやく分かった。長い間俺たちは同年代がいない環境で過ごしてきたのだ。クラナガンへ正式に引っ越して来たけど、まだ1ヵ月ぐらいしか経っていない。どう同年代と関わったらいいのかわからないと緊張して当然か。
そんなのいつも通りで大丈夫だよ、と俺は思うけどそれをそのまま伝えるのは無責任な気がする。アリシアなら、きっとすぐにでも友達ができると思うけど。でもこればっかりは気持ちの問題だよな。その一歩さえ踏み出せれば、自信になるはずなんだろうけど。
俺自身も妹の交友について今まで考えなかったわけじゃない。今度公園にアリシアも一緒に連れて行こうかな、と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ