第三十話 少年期L
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言ってくれたことだもん!」
アリシアのやる気というか迫力に、水を差してすいませんと謝ってしまった。思い出したけど、確かみんなでお花畑へピクニックに行く前に買い物の話をしたかもしれない。その時はずっと先のことだったし、軽い気持ちで頼んだ気がした。
その約束がまさか、2時間以上着せ替え人形になるフラグだったとは思ってもいなかった。買い物かごの中は俺とアリシアの服で埋まっている。服を見つけては試着をするの繰り返し。『女性と服を買う』ということが、こんなにも体力・精神力を使うものだったと久しく忘れていた。
「……女の人ってすげぇな」
『ますたー、目が若干死んでいますよ』
女性の多くには謎パワーがあると俺は思っている。普段は運動があんまり得意ではない人もこの時は何時間でも動き続けられる。集中力があんまりない人も、何時間も集中でき、細かい部分から経済的な部分までも見抜く目を持つ。
買い物時の女性はきっとスター状態なんだと思う。つまり敵わない。前世でも今世でもそういうところは変わらないと俺は思っている。男性人でも疲れない人はいるらしいけど、俺はこういうのはどうも苦手だ。服とか別におかしなものじゃないなら基本なんでもいいし。
『ますたーってところどころ無頓着な部分がありますよね。衣服とか装飾品とか。興味が薄いといいますか』
「うーん、どうもなぁ。どうでもいいって訳ではないんだけど……」
「あなたってこだわりがあるところは妥協しないけど、基本大雑把なものね」
母さんが口元に笑みを浮かべながら会話に入ってきた。その内容に俺も乾いた笑みが出る。母さんとコーラルの言うとおり、俺ってかなり適当なところがあるらしい。もう少し興味を持った方がいいんだろうけどなー。
「悪いわけではないけれど、気にかけておいてもいいと思うわ。特に女の子はそういうところに厳しい子もいるから」
「うぐっ。……わかった」
「ふふっ」
俺の頭を優しく撫でながら忠告してくれる母さん。まだ6歳だからそこまで気にしていなかったけど、俺だっていつかは彼女をつくって結婚とかしたいと思うし。気配りができる男にはなりたいよな。せめて顔には出ないようにしよう。
「そうね。だからもう少しだけアリシアに付き合ってあげて。あの子お買いものができるってすごく張り切っていたから」
「あ、うん。俺も選んでくれているのは嬉しいから別に。それにしても、アリシアがあんなにもお買い物が好きだったなんて知らなかったよ」
「それもあると思うけど、……きっとあなたに頼られたのが嬉しかったのね」
母さんの呟いた言葉に俺は首をかしげたが、そこで服を手にこちらに向かってきた妹を見つけたので意識をそちらに移す。
アリシアは俺たちの前で止まり、見て見てというように持
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