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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜Cross storys〜
episode of cross:紹介
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はまるで統一性がなく、でっかい虫のような形をしたものや、完全な人のようなものもいる。あえてそれらの接点を挙げるとしたならば、その全てが例外なくサイズが桁違いにデカいことだろうか。
その体長や全長は、平均三、四メートルはあるだろうか。
デカい。
アインクラッドに存在するモンスターの中でも断トツに大きい。これほどの体を持つモンスターの種類は、この鋼鉄の魔城の中でも一つしかない。
「ボスモンスターか………!」
シキと名乗った学ラン少年が、砕けんばかりに噛み締めた歯の狭間から軋るような声を出す。
「………見える範囲でこれだけの数っつーことは、全部で相当な数ってことだぞ」
「それに、全部が全部見覚えがある。恐らく、これまで攻略してきた全ボスモンスターが出現してんだろうな」
「…………………………………」
空気が、やけに冷たかった。
夕闇の色を帯びてきた陽光が、初夏の温い空気に当たってオレンジ色の光を辺り一辺に撒き散らしている。
じとっとしたものが背筋を這い回り、訳もなく体が細かく震え始めた。それを止めたいとゲツガは心の底から願ったが、意に反してその震えはだんだんと深く、大きなものになってきた。
訳もなく、上を仰ぎ見た。固い岩盤だけが見える洞窟の天井を。
あるいはその先のものを。
───ユキ
脳裏に浮かんだのは自分を慕ってくれる、一人の少女の姿。自分が護り、そして自分が死ねない理由。
その姿の向こうで、ゲツガはあることを思い出した。
それは、このイベントのタイトルだ。
そう、つまりはそういうこと。始めから仕組まれていたのである。
あの時、ユキは確かにこう言った。
そのイベントのタイトルは《守護霊達の亡霊》って言うんだって、と。
「さぁってと、んじゃ行きますか。居場所に帰りに、さ」
セモンが静かに言った一言で、空気がより一層鋭く研ぎ澄まされたように感じられた。
全員がゆっくりと首を縦に振る。
いまや完全に隔離されてしまったここの外に、置いてきたものがあるのは、ここにいる全員に共通した唯一のことかもしれない。
顔を見合わせて、淡く、力なく苦笑する。
どうやら、置いてきたものに苦労しているのも共通しているらしい。次第に頭が痛くなってきた。
ざりっ、と靴底が岩と少しの砂が堆積する地面を捉える。
その音はきっちり五人分合って、訳もなく同一感を強調してくれる。
視界にまず飛び込んでくるのは、大きな甲虫のボスだ。何と言うか、黒光りする角が艶やかに陽光を拒否して光り輝いている。
鋭いかぎ爪がついた六本の四肢は、振るわれただけで一撃死しかねないような凶暴な光を放っている。
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