第六話 エクリプスの選択
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かが五桁の魔王や。うちの主力二人が揃えば、恐らく四桁までは訳なく倒せる。そっちも、それをよう考えて貰わな困る」
「ふん。七桁の貴方に言われたくないわよ」
それもそうか、と少年は相槌を打って再び塔の頂上まで登る。相変わらずその糸目は閉じられたまま、胡散臭い笑みを浮かべているのは、もはや言うまでもないだろう。
「ま、僕らは白夜叉さんと戦えればそれでええねん。一度あの人の戦力は分析せな、こっちも戦い様があらへんし」
「――随分と、軽く乗ってくれるのね。いくら白夜叉を倒すのが目的とはいえ、それではサウザントアイズ≠ニの交渉云々が出来なくなるわよ?」
少女が忠告すると、少年は「ははっ」と心底楽しそうに笑い、夕日の方を見ながら言った。
「それは絶対にない。何なら、全財産賭けてもええで? 何故なら僕らは、もう既に目を離したらアカン存在なんよ。目を離せば、どんな戦力を引き連れるか分からんからな。だからこそ、白夜叉さんは僕らを目の届く場所に置きたがる。これは自分が倒されたくないからとか、そういうのじゃない。東の四桁以下最強のフロアマスターとして、秩序を守る為や。せやから僕らを切り捨てる、または目を離す時は――あの人が、フロアマスターを辞任したときだけやで」
――理には適っていた。しかし、不確定要素はまだ残っている。
「貴方自身が倒される可能性を、考えたことはないの?」
少女の問いに、少年は肯定の意味か首を縦に振る。
「それは僕らから目を離すより有り得へん。僕と白夜叉さんが戦ったら、東、西、南、北の四つのうちどれかの更に四桁あるうちのどれかが修復不可能なまでに壊滅するで? そこの生命も根絶やしにして、な。白夜叉さんがそれほどの力を持っていれば、当然僕にもその力は回ってくる。その力同士がぶつかれば――そうなるのが道理ってもんやろ? 最強のフロアマスターとして、それは絶対にやっちゃいけん行為や。逆を言えば、僕が表だって大暴れしてる時は白夜叉さんに討伐される恐れもあるんやけど――今回は、最下層やし、僕も目立った行動はせん。白夜叉さんが僕を討伐する大義名分には、もうちょっと付け加えがいる。つまり、僕が白夜叉さんにマークされることがあっても、白夜叉さんと戦う事はないっちゅうことや。これは僕が乱さない限り崩れることの無い平行線。せやからアンタ等は、自分の心配をしとき」
少年の言葉は、実際に実験して行動に移し、それを明らかにする――いわば証明に近かった。少年が言う白夜叉の人物像はほぼ間違いなく正しいし、それが正しいとなると他の憶測も9割9分は正しいことになる。
計算高い少年だ、などと三人は思いながら、同時に彼が東の最小の巨人とまで言われたコミュニティのマスターであることを、改めて痛感させられる。
「―
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