暁 〜小説投稿サイト〜
立派な魔法使い 偉大な悪魔
第六章 『邂逅』
[8/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
すぎるような)

 追って来ていた悪魔達が、かなりの勢いでネギ達から離れていく姿を見て、楓は違和感を覚えていた。まるで悪魔達が――

何かから逃げるように(・・・・・・)引いて――)

 そこで気が付いた楓は思考を中断し、叫んでいた。

「避けろ刹那、ネギ坊主!」

 既に楓は、虚空瞬動によって動いていた。ネギと刹那は、初めは何事か分からず、一瞬動けなかった。だが二人とも、下からせり上がって来るものの存在にすぐに気が付いた。
 悪魔達が逃げるように離れて行った理由。それは巨大な口だった。人が塵芥に思える程に大きな口は、ネギ達へ向かって来る。

「お嬢様! しっかり掴まっていて下さい!」
「皆さん杖を離さないでください!」

 そう言うと二人は一気に加速する。
 楓が早くに気付いたので巨大な口から辛くも逃れたが、ネギ達のすぐ側を巨大な口の持ち主が通り過ぎていく。

「でけぇ!」
「デカイっていうかこれなんなの!?」

 朝倉や、ネギの服にしがみついていたオコジョのカモが顔を出し、通り過ぎていく巨体に驚愕の声を漏らす。それはあまりに大きく、目測ではその大きさを測ることは困難な程だ。
 その巨魔はそのままネギ達の側を通り過ぎ、悪魔達の群れへ突っ込んでいった。凄まじい数の悪魔がその口腔へ誘われ、捕食される。

「な、なんか共食いしてるみてぇだな! チャンスだぜ兄貴!」

 悪魔の群れが激減し、混乱している今なら追っ手はほとんど来ないだろう。そう判断したカモがネギへ進言する。ネギもそう判断し、刹那と楓に指示を出した。

「刹那さん、楓さん! 今のうちに行きましょう!」

 刹那と楓はそれを聞くと、短く了解を伝え、更に加速していく。
 そしてついに、眼下に魔界の姿が広がる。
 太陽のない陰惨とした空の下、地平線の彼方まで続く血のように赤い地表に点在する墓標や石像。人間界や魔法世界にもない魔の世界の光景だ。

「これが、魔界」

 はじめて見る魔界の姿に、ネギは息を飲んだ。いや、ネギだけではない。全員がそうしていた。眼下に広がる光景を目にして、魔界へ来たことをまた実感したのだろう。

「凄い眺めですね」

 刹那もそう呟いていた。そして同時に気が付いた。地面だと思っていた赤い地表は、全て赤い液体であることに。

「ネギ先生。ひとまずあそこへ降りましょう」

 これは降りれないな、と判断した刹那は、白い岩を指差してネギへ提案する。ネギも波紋を浮かべる水面を見て、地面ではないことを覚ったようだ。

「そうですね。そうしましょう」

 一同は赤い水に浮かぶ岩へ降り立った。その岩は、妙に綺麗な様な面を向けていた。

(これは何かの切断面か? どこかで見たような……?)


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ