第六章 『邂逅』
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すぎるような)
追って来ていた悪魔達が、かなりの勢いでネギ達から離れていく姿を見て、楓は違和感を覚えていた。まるで悪魔達が――
(何かから逃げるように引いて――)
そこで気が付いた楓は思考を中断し、叫んでいた。
「避けろ刹那、ネギ坊主!」
既に楓は、虚空瞬動によって動いていた。ネギと刹那は、初めは何事か分からず、一瞬動けなかった。だが二人とも、下からせり上がって来るものの存在にすぐに気が付いた。
悪魔達が逃げるように離れて行った理由。それは巨大な口だった。人が塵芥に思える程に大きな口は、ネギ達へ向かって来る。
「お嬢様! しっかり掴まっていて下さい!」
「皆さん杖を離さないでください!」
そう言うと二人は一気に加速する。
楓が早くに気付いたので巨大な口から辛くも逃れたが、ネギ達のすぐ側を巨大な口の持ち主が通り過ぎていく。
「でけぇ!」
「デカイっていうかこれなんなの!?」
朝倉や、ネギの服にしがみついていたオコジョのカモが顔を出し、通り過ぎていく巨体に驚愕の声を漏らす。それはあまりに大きく、目測ではその大きさを測ることは困難な程だ。
その巨魔はそのままネギ達の側を通り過ぎ、悪魔達の群れへ突っ込んでいった。凄まじい数の悪魔がその口腔へ誘われ、捕食される。
「な、なんか共食いしてるみてぇだな! チャンスだぜ兄貴!」
悪魔の群れが激減し、混乱している今なら追っ手はほとんど来ないだろう。そう判断したカモがネギへ進言する。ネギもそう判断し、刹那と楓に指示を出した。
「刹那さん、楓さん! 今のうちに行きましょう!」
刹那と楓はそれを聞くと、短く了解を伝え、更に加速していく。
そしてついに、眼下に魔界の姿が広がる。
太陽のない陰惨とした空の下、地平線の彼方まで続く血のように赤い地表に点在する墓標や石像。人間界や魔法世界にもない魔の世界の光景だ。
「これが、魔界」
はじめて見る魔界の姿に、ネギは息を飲んだ。いや、ネギだけではない。全員がそうしていた。眼下に広がる光景を目にして、魔界へ来たことをまた実感したのだろう。
「凄い眺めですね」
刹那もそう呟いていた。そして同時に気が付いた。地面だと思っていた赤い地表は、全て赤い液体であることに。
「ネギ先生。ひとまずあそこへ降りましょう」
これは降りれないな、と判断した刹那は、白い岩を指差してネギへ提案する。ネギも波紋を浮かべる水面を見て、地面ではないことを覚ったようだ。
「そうですね。そうしましょう」
一同は赤い水に浮かぶ岩へ降り立った。その岩は、妙に綺麗な様な面を向けていた。
(これは何かの切断面か? どこかで見たような……?)
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