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立派な魔法使い 偉大な悪魔
第六章 『邂逅』
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ていないものの、数にものを言わせて出てくるのだ。さらに転移魔法陣によっても悪魔が現れるようになっていた。
 まさにきりがないとしか言えない。

「一応後方の艦隊に応援を要請している。もっとも『造物主の掟』持ちの召喚獣がまだいるから早々の到着は期待はできないがな」

 鋭い剣筋で『マリオネット』と『ヘル=プライド』を一閃に伏したゲーデルも、タカミチと同じ様子だ。
 造物主達が魔界に引き上げた事により、正確な数が分からないほどいた召喚獣の多くは姿を消していた。しかししぶとく魔法世界に留まっている召喚獣もいた。しかも中には『造物主の掟』を携えたままの者もいる。

「なら、僕達で凌ぐしかないね」

 居合拳を撃ちながらタカミチが応える。その反応から、もとから期待はしていなかったようだ。

「ですが出てきているのはどうも下級悪魔ばかりですし、大きく押されることもなさそうですね」
「いや、どうもそうではないみたいだ。来るぞ」

 アルの言葉に、スコープの向こう側にある光景を見た龍宮は対物狙撃銃を撃ちながら一同に告げた。

「随分とデカいな」

 エヴァンジェリンも目に集中して、空間の裂け目から覗く魔界を見る。驚異的なエヴァンジェリンの視力が、龍宮が見たものを捉えた。
 次第にそれが何なのか、全員が見ることになった。それは徐々にこちらへ近付いているのだ。そしてついに魔法世界との境界に差し掛かった。もともと開いていた世界の出入り口は、そこまで大きくない。とてもじゃないが、巨大な身体のそれは通り抜けられないだろう。
 だがそれは巨体を捩込み、強引に空間の裂け目を押し広げた。

「これは……大きいな」
「魔法世界の生物も大概ですが、やはり魔族は規格外ですね」

 タカミチがその大きさに驚嘆し、アルは魔族の特異性を再確認した。

「あれは『リヴァイアサン』。普段は魔界の空を回遊している大型の悪魔です。もっともあの個体はかなり大きい部類のようですが」

 その巨大な悪魔――リヴァイアサンについてザジが軽く説明した。そして続けてザジの口から出た言葉に、一同は驚いた。

「それよりも、どうやら麻帆良学園にも強力な大悪魔が襲来して、一部は悪魔達の制圧下にあるようです」

 既に麻帆良学園に悪魔が襲い、あまつさえ悪魔の手に落ちている所もあるというのだ。
 悪魔の支配下に置かれるとは、人間は、肉を引き裂かれ血は啜られ、骨まで弄ばれるということだ。まさに目を覆いたくなる惨状そのものだ。

「なんじゃと!? して、生徒達は無事なのか?」

 いの一番に近右衛門が口を開いた。
 魔法世界へ転移する前に、魔法先生にはなにかあれば連絡を入れるように指示ていた。だが、魔力が不規則に乱れ飛ぶせいか、通信はまともにできていなかっ
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