第六章 『邂逅』
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。しかしエヴァンジェリンにとってもナギは“特別”なのだ。
それを承知の上でアルが聞きたかったのは、師匠として、ネギはその決断が出来るのかどうかということだった。
エヴァンジェリンは『氷槍弾雨』の詠唱を終えて、数本の氷の槍を飛ばす。
「無理だろうな。こっちに来る前よりは、多少は面構えもましにはなってたが、親を殺すのはぼーやには無理だ。それに造物主はヤツでも封印するしかなかったんだろ? それをぼーやがなんとか出来るかは疑問だな」
エヴァンジェリンははっきりと言った。確かにエヴァンジェリンの言ったことは妥当なところだろう。
だが少し考える様に間を置くと、エヴァンジェリンは儚げで憂いた目を浮かべて言葉を続けた。
「まぁ、ぼーやの事だ。また小利口に色々考えてるだろ。もしかしたらその中に、ヤツを――ナギを救ってくれる方法があるかもな」
珍しくエヴァンジェリンは希望的な、奇跡的な見方を示した。というよりも、そうなって欲しいという願望だったのかもしれない。
無理もない。エヴァンジェリンにとっても、長年待ち続け、捜し続け、想い続けた者がようやく見つかったのだ。たとえ現実的ではない、ただの願望であったとしても、願わずにはいられなかった。
「――そうですね。私もナギが無事に帰ってきてほしいと願っています」
かつての仲間を造物主から取り戻したいという気持ちは、アルにもあるのだ。それは難しく、魔界へ行けない歯痒さもあるのだろう。エヴァンジェリンに同意を示しつつも、目は伏せられていた。
「そうはいっても、弟子に任せっきりというのもな。とりあえず、あれを片付けるか」
そう言ったエヴァンジェリンの目は、魔法世界を侵略しようとする悪魔の群れに向けられている。先程とはうって変わって、いつものように力強いものだった。
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック『来れ氷精、爆ぜよ風精、弾けよ凍れる息吹』!」
エヴァンジェリンが唱えた魔法によって悪魔の群れの中を凍気が駆け抜ける。それによって大量の氷が発生し、一部の悪魔は凍ってしまう。そこへ爆風というべき風が吹き荒れる。凍っていたものは砕け散り、大量の氷は巻き上げられて悪魔の肉に突き刺さる。
まさに氷の爆弾。『氷爆』という名に相応しい魔法だ。
「できるだけ一カ所に固まって、自分らの身を守ることを優先や!」
前線から討ち漏らした悪魔を小太郎の鋭い爪が切り裂く。そして黒い狼のような狗神を周りに配置し、自身は半獣化した小太郎が魔法世界に残ったクラスメイト達に注意する。同じ場所に固まっている方が、彼女達の護衛をするのに都合が良いからだ。
「いやはや、まるで終わりが見えないなぁ」
タカミチが少しうんざりしたように呟いた。まだ下級に分類される悪魔しかで
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