GGO編
百十八話 少女と少年の選択
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を掻きながら、他の人間には絶対に聞こえないであろう声量で発されたその言葉はしかし、美幸の耳にはしっかりと響き……
「「…………」」
……
…………
………………
「青春ねぇ……」
「「!!!」」
「あっ!安岐さん!」
「駄目ですよ今声出したら!!あっ!」
時既にタイムオーバー。暫くこの光景を眺めていようと思っていた和人と明日奈の陰謀は、安岐さんの一言によって挫かれたのであった。
────
「さてと、んじゃお前ら二人の処分は後にするとしてだ「えー、兄貴達が勝手に」だ・ま・れ!!」
「はい……」
不満そうに口を尖らせた和人を、涼人は無理矢理黙らせる。と、若干急いだような様子で早口になり、涼人は言った。
「とりあえず、カズは菊岡のおっさんに報告頼む。俺は今からシノンの家行ってくるわ」
「えっと、俺も行った方が良くないか?ってか、アイリさんは?」
「あ?あぁ。ほらよ」
「ん……?」
言いながら涼人は携帯端末を取り出すと、和人に見えるようにその画面を向けてくる。和人が覗き込んだ其処には、メールの画面が表示されていた。
sb:ヤッホー!
本文:今日はお疲れ様ー!
最後まで白熱してて、色々有ったけど楽しかったです!
たった今、家の中を確認したけど中にはだれも居ませんでした。逃げたのかな?今家中の鍵を確認して、警察に連絡したので、多分こっちはもう大丈夫だと思います。シノンの方何とかしてあげて下さい。
それじゃまたね!
PS
お願いって言うのは明日か明後日位に言います。よろしくね。
「……この、お願いってのは?」
「あ?知らね。なんか有るらしいぜ彼奴から」
「(ピクッ)」
あっけらかんと言った涼人の後ろで、美幸が肩を少しだけ動かしたのを苦笑して見ながら和人は話を続ける。
「分かった、で、シノンの家に行くのか?けど兄貴住所……は、そうか、知ってるよな」
「え?」
「え、リョウ何それどういう事?」
「あ?」
何やら過剰に反応した二人に、涼人は一瞬首を傾げてから納得したように言った。
「あー。説明してる時間が惜しいな……後でちゃんと説明する」
「はは……まあシノンも大丈夫だとは思うけどな。近くに住んでる男の友、達……に……?」
「あぁ。まあ彼奴……は……?」
和人と涼人は話しながら、表情を変えて虚空を睨んだ。
彼らはそれぞれの方法で、「彼」の事を知っていた。和人はシノンの家の近くに住む、彼女の友人として。
涼人は詩乃の友人であり、彼自身の友人としても。
そして同時に、彼等はある共通の事実を知っていた。
即ちかの少年が、「病院の息子」である、とい
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