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〜烈戦記〜
第六話 〜初仕事〜
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するのが目的で徐城より派兵された2000の兵を受け入れる為です!』
『ちょっと待った!』

な、なんだ。
何かおかしな事言ったのか?

『この周辺の賊は昔に粗方片付いたはずだ!それに賊が残っているというのも初耳だぞ!?』
『それは近年徐城の太守様が独自で周辺調査をした結果森に潜んでいた賊の一団を見つけたとの事だ!』

勢いで嘘をついてしまった。
だが、昨日の父さんと凱雲の話を聞いていると、本当の事を話せばさらにこの場が混乱しそうだった。
だから多分これでいいはずだ。

全員が全員納得しているわけでは無いが続けた。

『そして本来ならこのような情報は事前に住民や関係者に報告しなければいけないところをこちらの不手際で伝達できなかった事をまずお詫びします!』

そう言って周りに頭を下げた。

『すみませんでしたで許されるかよ!』
『そ、そうだ!』
『それならわしらの商いはどうすりゃいいんじゃ!』

『ですが!!』

周りが沸騰しかけた所を大声で静止する。

『僕の父は必死にその受け入れを拒みました!それも州牧様の使者にです!』
『…ッ!?』

周りがざわめき始める。
また嘘をついた。
確かに父さんは洋班に対して反対はしたが、それは違う内容についてだ。
だが、僕は拒んだ理由を述べていない。
そうすると僕は嘘はついて…。

いや、僕は勘違いする事を知っていて嘘をついたんだ。
言い訳はできない。
でも、この嘘だけは突き通さなければいけない。
後で商人の方々に謝りに回ろう。
だからどうか今だけは許して下さい。

『…父さんは今とても大変な立場にいます。自分よりも立場が上な人間が来てしまって命令一つ出てしまえばみなさんを守りたくても守ってあげれません。そりゃ一時的に、また一回だけなら上に背いてでもみなさんを守れます。…だけど僕の父さんはそれよりもこれからもみなさんを守る為にある時は頭を下げ、ある時は恨まれ役を買ったりしながら必死に毎日戦ってます。…だからどうかみなさん』


『今回の件、どうか僕達に協力してください!!お願いします!!』
『?!』

そう言って僕は膝をついて頭を地面に着けた。

この言葉は紛れもない本当の言葉で、最後の方なんて交渉を度外視した僕の我儘だ。

やはり僕には荷が重かったのかもしれない。
結局最後の最後で自分の感情が前に出てしまい公私を混同させてしまった。

…僕は餓鬼だ。

ごめん。

父さん。

これが今の僕の精一杯です。


『…』


静まりかえってしまった空気。
その中で僕はただただみんなの反応を待つことしかできない。

怖い。

『帯!!』

そしてそんな静寂の中で父さんの声が響いた。


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