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〜烈戦記〜
第六話 〜初仕事〜
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うか。

『なぁ帯坊!凱雲様を知らないか?』
『え?』
『凱雲様が一行に練兵所に現れないのだ』

凱雲がここにはいない。
なら凱雲はどこにいるのだろうか。
まったく想像ができない。
それより。

『みんなはどうしてここに?凱雲に呼ばれてたの?』
『え?いや、違う』
『?』
『なんというか…その』
『癖じゃな。毎日が訓練ばかりなせいで呼ばれんでも皆ここに足を運んでしまったのよ』
『そうじゃ。誰一人として遅刻せなんだな』
『そうじゃそうじゃ皆凱雲様が怖いんじゃな!』
『はははっ!』

なんというか凱雲はなんだかんだでみんなから愛されてるんだなって思った。
だが、今は関係無い。
ここに凱雲がいないなら別の場所を探さねば。

『あ、それより帯坊!』

兵士の一人に名前を呼ばれる。
いったい次はなんなんだろう。

『なんか帯坊の周りで大変な事になってるらしいじゃないか!』
『そうじゃ!昨日は大丈夫だったのか??』
『豪統様が痣だらけになる程殴られたというのは本当か?!』

もう情報が回っているようだ。
みんなから一斉に質問攻めにされる。

『うん!心配無いよ!大丈夫だよ!だから一人づつ!一人づつ!』

まずは周りを静かにさせる。

『州都から来た奴が豪統様を殴ったというのは本当か?』
『…うん』
『なんて野郎だ!どんな奴だ!?』
『俺が叩きのめしてやる!』
『やめてよ!』

みんなが一気に沸騰しそうになるのをなだめる。
…それができれば僕だって。

『いい!?絶対勝手な事しちゃ駄目だよ!?』
『なぜじゃ!?私等の豪統様が殴られたんじゃぞ??』
『そうじゃ!いくら上役だろうが黙ってられるか!』
『帯坊は悔しくないのか!?親が殴られたんじゃぞ!?』
『…ッ』
『おいお前!』

ドカッ

『ウグッ』

一人の兵士が違う兵士に殴られた。
周りがどよめく。

『いてて…なんじゃ急に!』
『言っていいことと悪い事があるじゃろ!帯坊の気持ちを考えてみろ!』
『なら黙ってろってか!?ふざけんな!腰抜け!』
『んだとてめぇ!』
『おいお前らやめろよ!』
『うるせぇ!』

『二人ともやめてよ!!』

二人が取っ組み合いになりそうな所を割って入る。
息を荒げた二人の鼻息以外静かになる。

『…僕だって悔しいよ。父さんが目の前で最低な奴に殴られて謝ってさ…。でも…僕らが我慢しなきゃ、きっと父さんがさらに責任を負わされて奴にいじめられるんだ…。だから…僕だって本当は…。』

地面に水滴が落ちる。
いつの間にか僕の目からは涙が出ていた。

『…帯坊』
『…ッ』

さっき僕に悔しくないのかと言った兵士が僕の目の前で膝をつく。


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