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〜烈戦記〜
第六話 〜初仕事〜
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の空気とは打って変わって急に緩んだ空気に呆気にとられていると、さっき掴み掛かってしまった商人に声を掛けられる。

『…あんたの息子さん、立派じゃったよ』
『…息子が?』

帯が何かしたのか?

『子供だからと甘く見ておったが…いやはや、逆にこれだけの人数の商人が説得されてしまうとはな』

そう言うとその商人もどこかへ行ってしまった。

…帯が交渉に成功した?
今私の後ろで童子のように泣きじゃくる私の息子がか?
商人の言葉が一瞬信じられなかった。
だが、散りじりになる商人達の背を見ていると何故か皆不満はあれど納得してくれているようだった。
…勿論、私は何もしていない。

私は後ろを振り返り、自分の息子に手を差し伸べる。

『…父さん?…どうなったの?』

どうやら帯も今のこの状況を理解できていなかったようだ。
顔はいかにも何故だと書いてあるような表情をしている。

『あぁ、お前のおかげでな』
『…僕?』

本人は無自覚のようだ。
…まったく、やってくれる。

『…ッ!?と、父さん!?』

私は自分の息子の成長に可愛さを憶え、思わず頭を荒々しく撫でた。

『よくやった。流石は私の息子だ』
『ッ!?うん!』

帯は潤んだ目を嬉しそうに輝かせる。
そして。

『へへっ』

同時にこれでもかと言う程照れ始める。
…まだまだ子供だな。

『帯よ。照れておる場合ではないぞ?まだ商人の一部を説得させただけだからな』
『あ、そっか。まだあれだけじゃないんだ』

帯は分かりやすい程肩を落とす。
まったく、先が思いやられる。

『だから帯よ。残りの商人の説得をお前にも頼めるか?』
『え?僕でいいの?』
『あぁ。どうやったかは知らんが、実際あれだけの商人達を説得できたんじゃ。お前に安心して任せられる』

…安心は言い過ぎかもしれんが。

『わ、わかった!頑張るよ!』

帯は私の言葉がよっぽど嬉しかったのか、みるみるやる気を出した。

『…だが、簡単に頭を地面に擦り付けてくれるなよ?』
『…うん』


その後少しして凱雲が戻ってくるなり地面に頭をすり付けて謝られた。

そしてその後は私と帯と凱雲の三人で商人の説得に回った。

帯はその間何度も私や凱雲の所へ来て助言を聞きながらも必死に商人達を説得してくれた。

…なんと心地のよい時間なのだろう。
自分の息子とやる仕事とはこれ程にやり甲斐のある事だったのか。
私は息子が来てからは自分の情けない姿ばかり見せていて、なんとも不甲斐ない毎日を過ごしてきた。
だが、だからこそ私は本来の仕事をする姿を自分の息子に見られている事が嬉しかった。
そして誇らしかった。


そして日が落ちない内に北門
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