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やはり俺達の青春ラブコメは間違っている。
第三章
そうして由比ヶ浜結衣は諦める。
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「真剣な顔でよくそんなことが言えるわね。…本当に、一度死んだら?」
 ……心の底からごめんなさい。

「でも、そんなに単純じゃないでしょ……」
 由比ヶ浜さんは疑わしげに比企谷を見る。……まあ、普通だったら「あんまおいしくないな…。そうか、あの娘にとって俺はおいしくないクッキーで済ます程度の存在なんだ…、死のう」ってなると思うし…。
 まあ、かわいい女の子がおいしくないクッキーを作って来たとしても「ちょっと、頑張りすぎちゃった、かも…。えへへ」と笑いながら絆創膏の巻かれた指でも隠せば、俺は無言でその娘を抱きしめている自信がある。
 俺の好みの容姿の女の子が「べ、別にあんたのために作って来たんじゃないから……ほら、失敗したやつを処理してもらおうと思っただけだし…」とか言いつつも、えらくかわいい柄の袋にクッキーが入ってたり、怪我した指でも隠してれば多分だが結婚を申し出ている。ちなみに毒が混入していたとしても、きっとそのクッキーは全部食べる。……って、これギャルゲ脳じゃね? それと俺にクッキーくれるやつなんかいねーよバカ。…ぐすっ。
 涙を流す俺を他所に、比企谷は話を切り出す。

「信じないなら説得力のある話をしてやるよ。……これは俺の友達の友達の話なんだがな、そいつが中学二年になったばかりのことだ。新学期だから最初のHRで学級委員を決めなくちゃならない。だが、そこはさすがに中二。男子は誰一人として委員長になんてなりたがらない。無論くじ引きだ。そいつは生来の運の無さからか当然のように委員長になってしまう。そして、教師から議事進行を引き継ぎ、女子の委員長を決めなければならなかった。内気で恥ずかしがり屋のシャイボーイには荷が重い」
「そこ全部同じ意味ね。あと前置きが長いわ」
 いやぁ、今更でしょ雪ノ下さん。

「黙って聞け。そのとき、一人の女子が立候補した。可愛い子だった。そして、めでたく男女の学級委員が決まった。その女子が『これから一年間よろしくね』とはにかみながら言った。それからというもの何くれとなくその女子はそいつに話しかけてくる。『あれ? ひょっとしてこいつ俺の娘と好きなんじゃね? そういえば、こいつ俺が委員長になったら立候補してきたし、よく話しかけてくるしもうこれ絶対俺のこと好きだよ!』そう確信するのに長い時間はかからなかった。だいたい一週間くらいだ」
「早っ!」
「そいつ別に内気で恥ずかしがり屋のシャイボーイでも何でもねぇよ…。もっと別の、こう…何か危険なあれだよ…」
「ばっかお前ら、愛に年の差とか時間とか関係ねーんだよ。そして、ある日の放課後、教師から命じられたプリントの回収をしていたとき、そいつは意を決して告白する。

『あ、あのさ、好きな奴とか、いるの?』
『えー、いないよー』
『いやその答え方は絶対いるっ
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