第三章
そうして由比ヶ浜結衣は諦める。
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れもギャルゲーかよ!
俺が頭を抱えていると、鞄の奥に一冊の本が…。俺が枕にするため持ってきた、その最後の一冊。取り出したのは「真夏の足し算」…ちなみに単行本。
…由比ヶ浜さんにはそれを貸し、自分は己の私生活を反省し、黙って待つことにしました。
× × ×
比企谷がドヤ顔で持ってきたクッキーはお世辞にも特別上手くできてるとは言えないものだった。
「これが『本当の手作りクッキー』なの? 形も悪いし、不揃いね。それと少し焼きすぎ。―これって……」
「もうわかったなぁ…俺も」
「「……ふむぅ」」
「え? 二人は何かわかったの?」
そりゃあ、なぁ…。そもそも十分でクッキーが作れるかっての。
「とりあえず食えばわかると思うよ?」
「桐山くんがそう言うなら…」
―サクッ、とこれまた小気味のいい音がする。
やはり来た。一瞬の沈黙…。
「っ! こ、これはっ!?」
由比ヶ浜さんの目がくわっと見開かれた。…もう前置きはいいよー。長いよー。
「別に特別何かあるわけじゃないし、ときどきジャリッてする。はっきり言ってそんなにおいしくない!」
やっぱね…。もういいよー。怒りの目もういいよー。長いよー。
そんな躍りながら大捜査する映画の、管理官みたいな顔しなくていいから。
「そっか、おいしくなかったか。……頑張ったんだけどな」
比企谷が急にしゅん、っとして俯く。ユー、俳優にナレルヨー。
「―あ……ごめん」
「あ、いや。…わり、捨てるわ」
そう言って比企谷はクッキーの乗った皿を持って、くるりと背を向けた。…その先にはゴミ箱。
「ま、待ちなさいよ」
「……何だよ?」
由比ヶ浜さんは比企谷の持っている皿から形の不揃いなクッキーを掴み取ると、ばりばりと音をたて、じゃりじゃりとしたそれを噛み砕く。
「べ、別に捨てることないじゃん! それに言うほど、まずくないし…」
「……そっか。そんなのだけど、満足してくれるか?」
比企谷がはにかんで笑いかけると、由比ヶ浜さんは夕日に顔を染め、ぷいと比企谷から顔を逸らした。…ダカラナンダヨ コノラブコメテンカイ。皆さん脳内は一面花畑か? お前らがそうやってると俺まで毒されて、脳内花畑なんか全部枯れてんのに無理やりのこじつけで花○牧場とか命名しちゃうぞ。…あげく生キャラメルとか作り出すけど良いの?
「つーかさっさと種明かし頼むわ」
俺は比企谷に「もう帰りたいよー、ママー!」といったオーラを出しつつ、ほぼ無表情で催促した。
ちなみにまだ「ドラえ○〜ん」のレベルには達していない。それがでると無言で気配を消し、帰宅するのでアウトである。
「やっぱりお二人さんは気づいてたか…。おい、
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