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やはり俺達の青春ラブコメは間違っている。
第三章
そうして由比ヶ浜結衣は諦める。
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じりながら元の高さを求めて這い寄っていくぜ?』
「……ごく」
「それまで僕が君のクッキー食べててやるからさ♪ ははっ、最近は食事に困っててねー。いやー、女子の作ったクッキー何てなかなか食べれるもんじゃないよ! これを食べない手は無いね! さすがにこれを食べないのは僕が作ったコショウ入りクッキーよりは不味いことだぜ!」

 俺は由比ヶ浜さんの失敗を嘲笑うかのように端にどけておいた由比ヶ浜さんのクッキーを口に全て流し込んだ。
 俺はクッキーに入っている卵の殻も、その何もかもを全て呑み込むとぐちゃりと表情を歪めて笑い、口を開く。

『…こんなもんかよ。面白味のない失敗だな、おい。才能がないって言い張るなら砂糖と白玉粉くらい間違えろよ…。僕なんかホットケーキミックスの粉入れてたんですけど? そして最後に僕から言わせてもらえばこのクッキーなんかうま過ぎるし、君は才能に満ち溢れてるんですけど。……まったく、君は報われてるぜ? 俺はもう笑顔にしたい人を笑顔には出来ないけど、君が作ったクッキーは、少なくとも僕を笑顔にはしてくれるぜ?』
「あうぅ……」
「あ、ちなみにまだ比企谷はしないぜ?」
「ガーンっ!?」
 俺が厳しい現実を突きつけると、由比ヶ浜さんはなぜか、少し笑顔を取り戻したようだった。

「そうね。桐ケ谷くんの言っていることの全てが正しいとは思わないけど、桐ケ谷くんが話した『彼』のように、とは言わないけれど、最低限の努力もしない人間には才能ある人間を羨む資格すらないのよ。成功できない人間は成功者が積み上げた努力を想像できないから成功しないのよ。時間はかかったかのかもしれないけど彼だって最後には成功したでしょう? ……桐ケ谷くんの言うことに賛同するのは癪なのだけれど、努力もしないで自分を無能だと思い込むなんて、恥ずかしくないの?」
 えー、それは、その…恥ずかしい、よな…。

「は、恥ずかしいっ…かも。ごめんなさい! 恥ずかしいから、あたしにもう一度クッキーの作り方を教えて! あ、ください…」
「そ、そう…」
「…あっそう」
「はあ、そういうことなら俺も教えてあげないとナー。あれ? 比企谷はまた味見係?」
「ちょ、おまっ…さっき僕が全部食ってやるだのなんだの格好つけてなかったか? お前も食えよ!」
「お前『も』だなんて、優しいやつだな比企谷…。お前は寛容だ…」
「し、しまった!」

 こうして由比ヶ浜さんのクッキー《Remake》を比企谷と二人で食べることになった。

              ×      ×      ×

「うーん、どうして上手くできないかなぁ? 桐山くんわかる?」
「はぁー、どうでしょう…。もしかして焼きすぎ?」
「比企谷くん。さっき食べてみたのはどうかしら?」
 調理は難航してい
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