第三章
そうして由比ヶ浜結衣は諦める。
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ゃあ貰おっかなー』
相変わらず気分の悪くなる笑顔だ…と、俺が思われている俺の笑顔にそっくり。でも、かわいいよね。僕はヤンデレにも理解があります。そうヤンデレ、今の由比ヶ浜さんの顔はそんな感じがする。いやマジで病んでる。ヤンデレ最高ぉ、萌える! ヒャッハー! …とか言ってられず黙って親切に病院に連れてってあげちゃうくらい病んでる。
あと僕もそこまでヤンデレというジャンルを好いているわけではない。ご、誤解されてたら ごめんなさいなんだからねっ! へへっ、超どうでもいい…。キョウモケシキガキレイダナー。
「"あ、比企谷と雪ノ下さんもぜひどーぞー☆"」
「では、一ついただくわね。…ふん、なかなかいい具合に焼けてるわね。侮りがたしっ…!」
「"比企谷も食えよ。…ほれっ"」
「ああ、どーも。…うん?」
―ピキーン、っと彼ら彼女らの頭から何か聞こえた気がした。
「う、うめぇー! なんだこれ、うまいっ。―え、なにこれ怖い、なにこれ怖い!」
テンション上がりすぎじゃないか? いつも一人で昼食をとるぼっちとは思えないぞ…。
「ふん…確かに意外にも美味しいわね。…私は悪くないけどあなたが作ったとは思えないわ…。へえ、少し見直したかしら」
エェー! 皆さん随分と甘口評価で…。なに? 何か良いことでもあったの?
俺がマスオさんになっていると、由比ヶ浜さんが笑いながら言った。
「ホントだ美味しい。えへへっ、私にはできないなぁ…。うん、桐山くんすごいねっ!」
「でしょー♪ じゃあ、雪ノ下さんのも食べさせてもらおうか?」
俺は雪ノ下さんの持っている皿からクッキーをぶんどって口に放り込む。
サクッ、と小気味のいい音がして、上質な甘い香りが口中に広がる。
「ま、負けたぁー。…ガフッ」
「どれどれ……うまっ! お前何色パティシエールだよっ!?」
…さあ、夢色じゃね? と言う気力はすでに俺には残されていなかった。
比企谷はまるで口直しでもするように、ここぞとばかりに雪ノ下のクッキーを食べ出した。
「っはは、ヒッキーがっつきすぎ…。はは、あたしもこんなクッキー作れれば、喜んで貰えたのかな…』
由比ヶ浜さんが諦めと嫉妬の言葉を漏らす。
「うん、うまい。…あ、【桐ケ谷】(きりがや)が女子だったら多分お前のクッキーも全部食ってるぞ?」
「お前な『も』って何だよ。もしかして、それ全部食う気か…? それと、桐ケ谷って女子ならいるかもな。桐山ってのはいないが…って、もしやこれは蛇足になるのか!?」
俺の名前の存在意義が崩壊する! 「彼」が言ってた名も無き神なのかよ俺は…。
「ふう、由比ヶ浜さん。君が無駄に諦める前に聞いてほしい。君が食べた僕の作ったクッキーは
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