第三章
そうして由比ヶ浜結衣は諦める。
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ったとしたら、彼女の希望を損なうかもしれないじゃない!」
「っはは、『彼』が僕で絶望したかい? でも優しい嘘じゃないか。…それに大した嘘じゃない、嘘ですら無いんじゃないか? 言わなかっただけさ…。俺の言葉に希望を抱くのは彼女の勝手だし、それに彼女が僕のようになるとは限らない。僕の目的と彼女の目的は違うしさ。安心して、奉仕部としてそのへんは心得てるよ。……はぁあ、それにしてもさっさと誰かを引きずり下ろすかして僕以下の存在を作らないと、正直なところ人としてもう立っていられないかもしれないなぁ…」
「自分の弱さを他人の弱さで誤魔化そうとするなんて、生きてて恥ずかしくないの?」
「恥ずかしい。弱い自分が恥ずかしいよ…。『―でも、その恥ずかしさが心地いい』」
「気持ち悪いっ…!」
「なんてのは冗談冗談。自分をコケにして由比ヶ浜さんが笑顔になるならそれで良かったのさ、うん。…ってことは立ち止まってると『彼』が由比ヶ浜さんを踏みにじりながら這い上がるなんて物騒なのが嘘だったわけだ。……じゃあ、俺は帰るよ? 今日は由比ヶ浜さんのために努力しちゃったから疲れたよ。もう二度としない。
最後にもう一度、僕の名前は『桐山霧夜』だ。名前だけでも覚えて帰ってね」
「ええ、よろしく桐ケ谷くん?」
「あ、ああ、よろしくな桐谷」
「はは、どうやら先は長そうだね。お二人さん。これからは雑にこなすから、よろしく頼むよ」
「ええ、明日、平塚先生から何かしら連絡があるかもしれないけど、私を恨まないでね?」
平塚先生かぁ…。あの人の存在ははこの高校に入って唯一後悔したことかもしれないな。なぜか俺の行動を把握してるし……。まあ、俺のことを知らないまま成績もつけてなくて、俺が成績表つけてないんですか? と、指摘すると慌ててオール5をつける奴らよりだんぜん増しか…。
「うん、まあとりあえず神を恨んでおくよ…」
「そう、さようなら」
「じゃあな桐ケ谷!」
間違った名前を笑顔で呼んでくる比企谷。…たまに合ってるんだけどなぁ、なんで安定しないんだろ?
部活には入っていなかったためいつもは直帰していたため気がつかなかったが、時間はこんなにも長かったんだ、と感じる。…マジで疲れたが価値のある疲労感だった。
比企谷の言葉に冷静を保てなかったこの日の自分は多分、俺史に残るくらいカッコ悪かったと思う。
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