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やはり俺達の青春ラブコメは間違っている。
第三章
そうして由比ヶ浜結衣は諦める。
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んの背中に声をかけた。

「由比ヶ浜さん、依頼のほうはどうするの?」
「あれはもういいや! 作り方は桐山くんから教わったし、自分のやり方でやってみる。ありがとね雪ノ下さん」
 振り向いて笑ってから、由比ヶ浜さんが僕に向かって言ってきた。

「桐山くんもありがとう! 何組か知らないけど、また明日ね。ばいばい!」
「ああ、さよならー」
 同じクラスらしいけどな…。それとエプロン着けたまま帰るんだね。あと、俺のレシピを書いたメモと一緒に「真夏の足し算」も持っていきやがった。まあ、気に入ったならあげてもいいんだけどさ…。

「……本当に良かったのかしら?」
 雪ノ下が由比ヶ浜さんの通ったドアの方を見つめたまま、呟きを漏らした。

「私は自分を高められるなら限界まで挑戦するべきだと思うの。それが最終的には由比ヶ浜さんのためになるから」
「まぁ、正論だわな。努力は自分を裏切らない。夢を裏切ることはあるけどな」
「どう違うの?」
 鞄を肩に掛けた俺の隣で雪ノ下と比企谷が何かについて語り合っているが、どうでもいい。

「努力しても夢が叶うとは限らない。むしろ叶わないことのほうが多いだろ。でも、頑張った事実さえありゃ慰めにはなる」
「それは、ただの自己満足『努力なんてのは慰めにもなりゃしねぇことだってあるぞ』…っ!」
 思わず声が出てしまった。…どうでもいいと言っても我慢できなかった。
 『努力』が慰めだぁあ? じゃあ「彼」は努力なんてもんに慰めてもらったのかな?

『俺が話した「彼」の話なんだけどさ、実はあれしょうもない続きがあんだよ。……一人の少年がいて優しいと思ってやまなかったご両親のために一生懸命ダメな自分を変えようと、まさに血の滲むような努力をして、学力の高い中学に通って、笑顔を作るためにクッキー作った少年の話だ。その中学生になって束の間の幸福を噛み締めていた彼に神の悪戯か、悲劇が訪れる…。
 翌日、彼が目を覚ますと、やはり誰も自分を覚えてなかった。自分が努力した目的だった両親も自分を覚えてなかった。血の滲む努力をしたのにだ…。傷ついた彼は己の努力がその価値を失ったことに気づいた。四年も費やしたものがごみになってしまった。それ以前に今まで自分が見てきた人たちが嘘になった。
 その「彼」は今、高校二年生だ。勉強をいっぱいして一流の企業に入って両親を喜ばすなんてもう考えなかったから、それなりの偏差値の高校に入学した。…それで無気力に過ごしてたら「部活に入れ」だ。
 そうそう、彼の名前は「桐山 霧夜」。君たちが全然よく知らない総武高校の二年生だ』
 …ながながとよく喋ったものだ。俺がドアに向かいながら言うと、雪ノ下が声をかけてくる。

「じゃあ、由比ヶ浜さんには嘘をついたの? あなたの言う「彼」が結局、幸せではなか
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