第三章
そうして由比ヶ浜結衣は諦める。
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の? そういうの、ないし…」
…その時、由比ヶ浜結衣の表情は暗かった。
その顔は自分の顔のそれに酷似していて、その幼げな顔は酷く歪み、おぞましいナニかへと変わったかのように錯覚する。妬みに乗っ取られてしまったかのような、まるで「僕」の顔だった。
「一つだけ解決方法が浮かんだのだけれど、何だかもう無駄に終わりそうね…。あなたに表情がそっくりだわ…。あなた、由比ヶ浜さんに何をしたの?」
負のオーラに取りつかれたのであろう由比ヶ浜さんを見て、雪ノ下雪乃は俺を疑いと拒絶の入り交じった目で見てくる。
「……え? 何だいその目は? 今の俺の心はコ○ンで最終的にまわりの容疑者勢から驚きと軽蔑の入り交じった目で見られる真犯人の気持ちでいっぱいだよ。何だよ、うずくまって泣いちゃうぞ? 過去の怨念を晒しちゃうぞ?」
それにしても最近の○ナンは終わり方がワンパターン過ぎると思うの。最終的に膝をついて「ちくしょうちくしょう」もしくは「あいつが悪いんだ、あいつのせいで○○は…ちくしょーおぉうおう」って泣く以外のエンディングが欲しいの。
―それと、俺への疑いについて、俺の返答は「何もしてない」だ。
正直、俺のそっくりさんが現れてビックリドッキリ、メカっている。
何もしてない。大体、俺が何をすれば俺のコピーが生まれるんだ? 漫画の読みすぎだろ、もしくは中二病? …と、俺が言うと、雪ノ下と比企谷は戸惑いをあらわにする。原因がわからないからだ。彼女がどうしてここまで落ち込んで、そして落ちぶれてしまったのか…。
……二人が戸惑うその中で俺は、心底つまらないといった顔をした。だって本当につまらなかった。まるで虚空でも見つめるかのように、授業中に何気なく窓の外を眺めるかのように、由比ヶ浜結衣を眺めた。
何においても素晴らしいとは思わぬまま、俺は何でもない声でぼやいた。
「”くだらね。…ペッ”」
僕には何となくわかってしまった。彼女が「努力」をすることを諦めてしまっていることに…。
心の底からめんどくさい。でも俺はもう一度言わなければならないようだった。
「”由比ヶ浜結衣さん” 」
『……どうしたの? 』
彼女は会ったときとは見当もつかないほど捻くれた笑顔で微笑みかけてくる。やっぱり比企谷に劇薬呼ばわりされたのがショックだったのかな…。
「”…はぁ、僕言ったよね?「君の努力には意味がある」って”」
『……そうだったかな』
「"うん。でもね、基本的に誰が努力しても意味はあると思うんだ。…目的さえあればね"」
『えへ、へぇ……そう、なんだぁ』
「"そうだよ。じゃあ話をする前に僕が作ったクッキー食べてみてよ。お手本にしてもらっても僕はかまわないよ?"」
『えへへ、じ
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