五話
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周囲に出現した都市の上には沈黙が覆っていた。先程まではグレンダンの力について声高く疑問と不満を叫んでいた者の全てが口を噤んでいた。いや、噤まざるを得なかった。
自分達が逆立ちしても出せないような剄技を繰り出す武芸者達。剄力、技量など実力がある武芸者であればあるほどその隔絶を感じ取ってしまう。そしてそれを受けて尚殆ど無傷といえるほどの再生能力を持つ汚染獣。
そこに入って同じように出来るかといえば確実に『否』であるからだ。
呆然としている間に狼面衆、周囲に現れた汚染獣がそれぞれの都市へ向けて動き出す。
『それぞれの都市は来る汚染獣を撃退してください。基本的に都市毎に戦ってもらいますがこちらから指示する事もあると思いますがよろしいですか』
エルスマウの声が流れ止まっていた時間が流れ始める。
『こちらは学園都市ツェルニです。了解しました、キュアンティス卿』
それでも揉める雰囲気が生まれそうになった時、最初に明確な意思を伝えてきたのはツェルニだった。
一つの都市が賛意を表明したことで他の都市にも広がっていく。何より個人的なプライドではどうしようもない程の差がそこにはあったのだから。
ましてやヴェルゼンハイムを包む炎からは触れずとも高温であることが伝わり、周囲の地面を焼け焦がし地獄絵図の様相を呈してきている。
『陛下、他の都市から粗方同意は得られましたが老性体クラスともなると彼らだけでは厳しいものがあるかと。如何しますか』
「そうねえ、だからといってこっちも放り出すわけにはいかないし、どうしようかしら」
しばし考えるといい事を思いついたように手を打つ。
「そうだわ、ハイアあんた傭兵団の団長してたわよね。グレンダンの武芸者纏めて狩って来なさいよ」
「仕方ないさー、俺っちの本領は集団戦だからさ。それじゃ、取り敢えずの編成はエルスマウさん、あんたに任せるさー、それと糸の旦那を回してくれれば早くケリがつくと思うさ」
「そうね、リンが一番撒き散らしたんだし。責任とってもらおうかしら」
露骨に嫌そうな顔をするリンテンスに遠慮なく言いつける。
『わかりました、集結地点は……』
エルスマウと会話と共に離れていくハイアから戦場に目を戻す。
ヴェルゼンハイムを囲むようにニーナと天剣、そしてアイレインとニルフィリアがいる。
アイレインは寄ってくる狼面衆を両手に持つ銃で貫き、その眼は汚染獣やヴェルゼンハイムへ向ける。
「お前の墓標を打ち立ててやろう」
ヴェルゼンハイムの体が一部崩れたように見えるが実際は茨輪の十字を刻んだ眼球となって零れ落ちていっているのだ。再生速度より侵食する方が速く身をよじって逃れようとする。
ニルフィリアは自らの手足とも呼べる闇を展開しヴェルゼンハイムに襲い掛からせる。
ヴ
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