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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第7話 SAO 正式チュートリアル
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することができる筈だ」

 今度は、キリトが変わりにクラインに答えた。

「……説明の手間が省けるな。キリトがいると」

 リュウキは、本当にそう思っていた。と言うか、クラインが知らなさ過ぎるのも原因の一つだろう。

「これくらい……知ってたさ。何でもない」
「オレは知らねえって! 確かにそんなことしてたなーくらいでよ!」

 どうやらクラインは、ゲームやる時は説明書読まないタイプらしい。

「つまりはこう言う事、だろう。現実。あいつはさっきそう言った。これは現実だと。このポリゴンのアバターと数値化されたHPは、両方本物の体であり、命なんだ、とな。……それを強制的に認識させるために、茅場は俺たちの現実そのままの顔と体を再現したんだ……。自身の姿で攻撃を受ければ、自分が傷ついている。……そう強く錯覚するだろう。そして、自分の身体が砕けでもすれば? ……刷り込みを行うのにもってこいと言うわけだ。」

 リュウキは想像上ではあるが……恐らく間違いないとそう言う。
 誰しも自分の姿で切り付けられたりしたら……? HPゲージが消えたら? これによって安易な行動は控えるようになるだろう。

「なんでだ!? そもそも、なんでこんなことを………!?」
「オレの回答が正しいとは限らないし、……アイツに聞くべきことだな。」

 リュウキはクラインの言葉にそう返した。まだ、巨大な茅場は健在なのだ。その言葉に反応したのか、或いはただのプログラム通りなのか、話を続けていた。

『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ、ソードアート・オンラインおよびナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?……私の目的はすでに達せられている。この世界を創り出し、鑑賞するために私はソードアート・オンラインを作った』

 それは、あの男が言っていたものと同じで、何に変えてでも作りたかったもの。それを実現させ……そして その世界に自分自身のリアルを築きたかった。

「そう言うところ……か」

 リュウキはそう解釈する。
 茅場は作るのだけじゃ飽き足らず……その場所に本物の人間を連れてくることで更なるリアル感を求めた。より自分の理想世界に近づける為に。

『……以上で≪ソードアート・オンライン≫正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る』

 最後の一言で、残響を引き消えた。その巨大なローブ姿が音もなく上昇、フードの先端から空を埋めるシステムメッセージに溶け込むように同化していくように消えてゆく。肩・胸、そして両手と足が血の色をした天の水面に沈み、最後にひとつだけ波紋が広がった。その波紋が消えると殆ど同時に……空一面に並ぶメッセージも現れた時と同じ様に唐突に消滅した。




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