暁 〜小説投稿サイト〜
形而下の神々
10日間の小さな行軍記
行軍4日目〜前編〜
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は1日の進むべきノルマの距離を達成すれば良い訳で、ペースは各々の判断に任されるのだ。先遣隊だけは、先にキャンプ予定地の安全を確保するので馬を走らせる訳だが。
 ちなみに俺とシュナウドはトップを歩いている。

「どうする? 引き返すか?」

 と、俺はとりあえずシュナウドの意見を仰ぐ。

「ああ、引き換えした方がいいと思う。 流石に2人だけで狼人に出くわしたら一貫の終わりだ」
「……そうだな」

 結局、俺とシュナウドは元来た道を引き返す事にした。

「さ、引き返そう」


 サッと踵を返し、アロン街道を逆戻りする。
 そうしてしばらく歩くと見覚えのあるシルエットが見えてきた。

「あっ、タイチさん!! どうしたんですか? 戻って来たりして」

最初に会ったのは2番手のユミと傭兵のシャラという女性のコンビだった。

「あぁ、君は……たしか瞬間移動の傭兵だったね。何故引き返してきた?」

 シャラのいかにも訝しむ様な目線が痛いが、シュナウドが言うには「この女はまだ出来る方」らしい。

「どうやらこの隊は狼人に目を付けられちゃったらしくてね……」

 と、今までの経緯を話すうちに3番手のグランシェ&ユイ隊に合流。


 また話すうちに4番手に合流と、同じことを延々と繰り返し、結局全員がその場に居合わせる事となった。
 そうして同じ話を何度も聞いたシャラがアクビをしだす頃、23人の傭兵と12人の奴隷、そしてマスターのマストルじじぃとその手下の3人が揃った。

「タイチ君だったかな?狼人が襲ってくるとはどういう事だね」

 と、マストルはいかにも不満そうに口を開いた。

「はい、ここから少し先の道で先遣隊の馬の足跡が消えています。恐らく、狼人の輩に襲われたのかと」

「狼人と言う根拠は?」

 てめぇの身勝手な欲ボケのせいだよ。
 ……とは流石に言えないので怒りを飲んで笑顔で対応する。

「狼人かどうかはまだ確定はしていませんが、私たちに何かしらの敵が迫っていることは確かかと」

 それを聞いた爺さんは納得したのか、全員に向かって指示を出した。

「確かにそうですね……これからは固まって行軍します。馬が蹄の跡も無く消える訳もありませんし、だからといって戦闘した跡がある訳でもない。敵の罠にかかった可能性もありますので、皆さん注意して行軍しましょう」

 マストルの掛け声で、全員が行軍を再開する。

 ここはアロン街道。左手には緑豊かな丘が広がる丘陵地帯。右手にはキラキラと輝く清水が流れる深緑の森。
 雨量は少ないのか空気は澄み乾き、夜は美しい月が煌々と辺りを照らす。

 ここは逃げ場のない、ただひたすらに続く一本道。
 左手の丘は狼人が住まう丘陵地帯。右手の
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