第6話 顕われたのは黄泉津大神の眷属ですよ?
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美の命本人で有る可能性が高いのですから。
しかし、
しかし、美月の心は、その程度の事では動じはしなかった。
そう。普段のように、心の中にのみ存在する弓をイメージする。
「焼鎌の敏鎌以て打ち掃う事の如く」
唱和の声がひとつ響く毎に、
一柱の雷神が滅せられる毎に、ゆっくりと動いて行く千引きの大岩。
そう。その一瞬一瞬が、世界の理が、元の人間界の理へと書き換えられる瞬間で有ったのだ。
手にした矢を頭の高さへと掲げ、それをゆっくりと降ろして行きながら、弦と弓との間を押し広げて行く。
そう。正に、気が張り詰めるその瞬間。
昔。本当に、何時の事だったのか忘れて仕舞うほど前に誰か。おそらく、自らの弓の師で有る父親に教えられた言葉。
弓は放つのではなく、矢、自らが離れる、のだと言う瞬間を待つ美月。
「遺罪は不在と、祓給ひ清め給事を」
刹那。張り詰められた弓から、矢が離れる瞬間が訪れた!
美月の周囲の空間が、一瞬の内に清浄なる空間へと変ずる。
そう。これはハクが作り上げる禊の空間と同種の物。神道が作り上げる絶対の神聖な空間。
そして、その瞬間、紡が作り上げた光の壁以上の。いや、闇夜が白く塗り潰される程の光輝が世界を支配したのだった。
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