第6話 顕われたのは黄泉津大神の眷属ですよ?
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来るような雰囲気で立ち上がる一誠。ただ、それも宣なるかな。
何故ならば、彼が受けた雷は、正に神話級の雷。長い年月の間、日本の国生みの夫婦神の別れの部分を彩る神話に登場した神の雷で有る以上、伝えられて来た間に蓄えられた力は計り知れない破壊力を持つ。
その攻撃を受けて尚、立ち上がる事が出来る黄金聖闘士の方こそ、驚愕の瞳で見つめるべきで有ろう。
そして……。
そして、次の瞬間、乙女座バルゴの黄金聖衣を装着した瞬間から閉じられていた瞳が開かれ、白き光の帯に絡め取られながらも、不気味な胎動を繰り返し、その戒めを今にも破らんとする毒蛇をその瞳に映した。
その瞬間。乙女座の黄金聖闘士が持つ奥義が、この邪気と瘴気に包まれた世界を、宇宙の真理。完璧に定められた調和の世界へと塗り変えて行く。
そうして、
「天舞法輪!」
究極にまで高められた一誠の小宇宙が爆発した。
「科戸之風の 天の八重雲を吹き放つ事の如く
朝の御霧 夕べの御霧を」
ハクと共に唱和を開始した祝詞から、徐々に験力が顕われ始めた。
そう。徐々に、千引きの大岩を押し開き、彼方から、此方へと道を開こうとして来た霊力に抗し、押し止めていた力の方が徐々にだが上回り出したのだ。
周囲には、最初にハクが張り巡らせた禊の空間が絶対の神聖防御として存在し、内部に悪意の有るモノたちの侵入を防いでいる。
「朝風 夕風の吹き掃ふ事の如く、大津邊に居る大船を舳解き放ち、艫解き放ちて」
唱和される祝詞が続く。
そして、これで、風、火までの祓いは終わった。
刹那。禊の空間と、そして、現実界との境界線上で、異音が起きた。
これは、無意味な突撃を行った蛇、……さばえなす悪しき霊が弾かれた時の音。そして、隣にて印を結び、自分と同じように祓いの祝詞を唱和し続けて居るハクが、その禊の空間を維持し、更に別の術も同時に行使し続けている事は美月にも理解出来た。
「大海原に押し放つ事之如く 彼方之繁木本を」
水の祓いが終了し、更に土の祓いに移った瞬間!
凄まじい……と言うのも馬鹿馬鹿しい程の圧倒的な神力が闇の奥より、直接、美月と、そして、傍らに立つハクに対して浴びせ掛けられる。
そう。心を萎縮させ、魂を砕き、絶望を押し付けて来るかのようなその感覚。
そして、それは当然。
何故ならば、この闇の向こう側。千引きの大岩の向こう側で、大岩を今まさに開こうとしているのはまさしく神。元々は国生みの夫婦神の一柱。そして、死す事により、黄泉津大神と呼ばれるようになった伊邪那
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