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私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第6話 顕われたのは黄泉津大神の眷属ですよ?
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然な点を感じる事はない。

「やれやれ。こんなトコロにまでやって来てお仕事をするとは、ご苦労なこったな」

 俺には真似は出来ないけどね、と非常にやる気を感じさせない独り言を呟く青年。
 その瞬間にも発せられる雰囲気は一般人。

 但し、この場に、本当に何の能力も持たない一般人が現れる訳はない。まして、この異常な事態が進行中の場所に、一般人の雰囲気しか発さない人物が顕われる事に因り、逆に、新たに現れた人物の異常性が際立っているように思われる。

 そうして、

「はい、今、丁度終わった所ですよ」

 思わず、微笑みを返しそうになる、爽やかな微笑みを新たに現れた青年に向ける、最初から居た謎の微笑みを浮かべる青年。
 その答えと、微笑みを面倒臭げに見返した特徴のない青年が、まるで嫌々ながらの雰囲気を発しながら、二歩、彼に近付く。
 そして、

「それなら帰るか」

 ……と、元々居たイケメン青年に告げながら、彼の肩に手を置いた。
 それはとてもさり気ない所作。但し、顕われた際の唐突さから推測すると、この青年は何らかの瞬間移動を行う能力(ギフト)を有していると思われるのだが……。

「それでは、皆さん。縁が有ったら、またお会い致しましょう」

 本当に、心からそう願って居るかのように告げてから、イケメンに相応しい爽やかな笑みを一同に魅せる青年。
 そして次の瞬間、

 その場に居たイケメンと、面倒臭がりの青年の姿は完全に消え去っていた。


☆★☆★☆


【ヨ、こ、セ……】

 妙な二人組。どう考えても、このギフト・ゲームの主催者の太上老君とは関係なさそうな二人組が消えた瞬間、

 紡の足を掴む何か。
 その瞬間、身体の奥から、何か非常に大切な物が奪われた感覚と、そして、背筋に奇妙な悪寒のようなモノを感じる。

 これは、

「エナジー・ドレインか」

 まるで、ぬかるんだ地面。水を張った田んぼか、泥沼に足を踏み込んで仕舞ったかのような異常な感触に、表皮が粟立つような感触に見舞われながらも、宙に浮かび上がろうとする紡。

【YO……こ……セ……】

 再び、何処からか。周囲に顕われた何かから、言葉が伝えられる。
 そう。それは、空気を振動させる類の普通の言葉ではない。直接心の中に訴え掛けられる【精神の声】。その【声】に纏わり付いた狂気だけでも、容易く普通の人間ならば精神を崩壊させかねないレベルの狂気。
 そいつらは、それほどに危険な【声】を発して居た。

 しかし!

 その彼の行動……宙を舞おうとする行動を見透かしたような正面から襲い来る何か。
 いや、それはまるで蛇たち。口々から瘴気を吐き出しながら、紡に襲い掛かる様は、正に悪夢そのもの。

 
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