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ソードアート・オンライン〜Another story〜
第2話 ログアウトしました
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ないんだから。
 最後まで……。一緒にいてくれるなんて。

 それに、拍車をかけたのが、あの出来事(・・・)だった。

 彼の全てを決めてしまった事件、と言って良い出来事。
 きっと、あの出来事があったからこそ、今の彼がある。信じられない事が前提で、ゲームやネットをしているからこそ、仲間と言うものを作らないのだ。否、作らないのではなく、作れない。
 心が、無意識に拒んでしまう。一線を引いてしまっている。
 
 これまでは、画面の中にいる者の姿が、素顔が見れないのだから。

「坊ちゃん……」

 爺やは表情を落とした。言うべきではなかったと一瞬後悔もした。この子は現実では、恵まれているようで……そうではない。確かに富は十分すぎるほどに持っている。その天才的な技術。今の時代、それを見せれば幾らでも富は増える。

 だが、いかな人間でも孤独に勝てるものなんているものじゃない。

 孤独で精神を……崩しかねない人間だっている。頭が良すぎる事で……疎まれる。


――……そして、ある事件(・・)が起きて、……それを経て仲間なんてものは幻想だと解釈している。


 すでにこの年齢で悟っている。14年と言う短い時間で悟ってしまっているんだ。

 だけど、気を許す爺やには、彼は歳相応の笑顔を見せる。これでもかと言うくらいの笑顔。
そして、甘える。そう、それはまるで子が親に甘えるそのもの。一般人なら中学生の彼だが、年齢なんか関係無いと言った様に。

 だが、彼は同時に思う事があった。
 
 必ずいずれは自分自身もいなくなってしまうのは間違いないのだと。自分の歳も……若くは無い。だからこそ、残されたこの子が心配で……仕方が無い。でも……今度のMMOはこれまでとは全く違う。

――VR。即ち……Virtual Reality。

 仮想ではあるが限りなく現実に近い世界だ。これまでのものとは違い、相手を見て話が出来、そしてプレイをする事が出来る。これまでの様に、殆ど相手の姿が見えないそれとはまるで違う。

 そこで……出会いがあればと切に願っているんだ。

 信頼出来る人が、本当の仲間と言う者が。

「……良いよ。本当にありがとう爺や。僕、嬉しいよ」
「それは、私にとってこれ以上無い誉です。お坊ちゃん……。心行くまで、お楽しみください」
「……うん」

 そして、それ以上は何も言わなかった。だが、笑顔を向けたまま言い、そして続ける。

「ですが、今はもう深夜。流石にお休みください。お身体に障ります」
「う、うんっ! ごめんね、爺や」

 そのまま、椅子からぴょんと飛び降りるように降りるとそのまま、部屋から出ていった。まだ、あの世界には行けない。時間と言う壁が残っている。その壁が存在
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